ダイレクトドライヴへの疑問(その14)
ターンテーブルのワウ・フラッターが充分に小さければ、
カートリッジが同じであれば、プレーヤーシステムの違いによって音が変ることはない、
こんなことを強弁する人は、決って測定しても違いが現れない、ともいう。
測定の多くの場合につかわれる信号は、ほとんどがサインウェーヴである。
われわれがケーブル(アンプ)によって音が変る、
さらにはターンテーブルによって音が変る、という場合に聴いているのは音楽である。
カートリッジがおなじであれば、ほんとうにターンテーブル(プレーヤーシステム)による音の違いは、
測定結果として現れないのだろうか。
そんなことはないことは、いまから35年も前のステレオサウンドに載っている。
ステレオサウンド 48号、プレーヤーの特集の中、146ページに載っている。
囲み記事として掲載された「プレーヤーシステムによって再生能力はこんなに違う」では、
ふたつのグラフがある。
ベートーヴェンのピアノソナタ「熱情」のレベル記録を、一部拡大したグラフである。
グラフのひとつはEMT・930stによる再生波形、
もうひとつは1973年ごろに発売されたローコストのダイレクトドライヴ型プレーヤーによる再生波形。
カートリッジはどちらもオルトフォンのSPU-G/Eを、針圧3gで使った、と記事にはある。
いくつかの山・谷が描かれている、ふたつのグラフは、
「熱情」の同じ箇所を再生しているのであるから、相似形ではある。
けれど細部までまったく同じというわけではない。