Archive for 8月, 2024

Date: 8月 5th, 2024
Cate: 老い

老いとオーディオ(なにに呼ばれているのか・その5)

あと二年で五味先生の「五味オーディオ教室」と出逢って五十年になる。
長いと思うだけでなく、
出逢った日のことを鮮明におもい出せるから、
あっという間だったとも感じているところもある。

なにに呼ばれてここまで来たのか、そしてどこまで行くのか。

そんなことを考えるようになってきたのは、齢をとってきたからなのか。

そうなのだろうか。
私と同じくらい、もっと長くオーディオをやってきた人は、多くいる。
その人たちは、なにに呼ばれてきたのか──、
考えてもいないし、感じてもいないのかもしれない。

いまの私の感覚では、そんなふうに感じも考えもしないことは、オーディオにおける老いではなく、
老いによる劣化なのではないだろうか。

これから、そういう劣化していく人を見ていくことになるのか。

Date: 8月 4th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その13)

(その11)で書いているように、六階の端から順番にだったから、
最初に入ったのは太陽インターナショナルで、
土方久明氏の時間帯だった。

ヘッドフォン祭では、若い来場者数人に囲まれて談笑している土方久明氏を見かけたことはあるが、
土方久明氏が話しているのを聞くのは初めてだった。

ここでも小さな驚きがあった。
土方久明氏の話はそつがないというか、
うまいな、と感心しながら聞いていた。

土方久明氏は、いま売れっ子といっていいだろう。
オーディオ雑誌、ウェブ記事、どちらでもその名前を目にする。

インターナショナルオーディオショウでの話し方を聞いていると、
その売れっ子ぶりに納得がいく。

ヘッドフォン祭での囲まれているところからも、
若い人たちからの支持もけっこうあるのだろう。

別項で、オーディオ評論家(職能家)、オーディオ評論家(商売屋)について書いている。

土方久明氏をオーディオ評論家(職能家)とは思わないし言わないが、
オーディオ評論家(商売屋)とも言わない。
オーディオ評論家(仕事人)という感じを受けた。

Date: 8月 4th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その12)

私がナスペックのブースに入った時は、
ちょうどジブリの音楽というテーマの時間帯だった。

ジブリの音楽を続けて聴くのは、初めてだった。
「風の谷のナウシカ」までは映画館で観ていたけれど、
それ以降は映画館でも、それ以外でも観ていない。
なので初めて聴く曲ばかり。

それで去年の音とどう比較するのか、と言われそうだが、
音楽の表情が、歌の濃やかな表情が、さりげなくだが、よく出ていた。

耳を澄まして聴けば、こんなふうに歌っているのか、と、おっと思ったりしたし、
歌のあるところでは歌手の力量もはっきり出していたので、
おやっお感じたりもした。

少なくとも去年の音は、そんなふうには感じなかったから、
やはり今年の音は、
プレイバックデザインズのパワーアンプがあってのものといえよう。

「大男総身に知恵が回りかね」、
プレイバックデザインズのパワーアンプを初めて見た人は、
そう思うかもしれないが、
少なくとも今回聴いた印象では、そんなふうにはまったく感じなかったし、
だからといってスピーカーを手玉に取って鳴らすという感じもなく、
好印象だけが残った。

そのこともあって、今年のインターナショナルオーディオショウで、
ナスペックのブースはいい印象だけが残っている。

Date: 8月 3rd, 2024
Cate: 「オーディオ」考

「音は人なり」を、いまいちど考える(その22)

数ヵ月前に、ある人がセッティング、チューニングした音を聴いた。
屋上屋を架すとしか言いようのないセッティングだった。

肝心なのは音である。
そういうセッティングでも、出てきた音が素晴らしいのであれば、
または説得力に満ちた音であれば、
そのために必要だったことと受け止めるしかないわけだが、
その時の音は、お世辞にもそうとは言えなかったから、
屋上屋を架した、としか言いようがなかった。

どこかいびつで異様な感じが常に付き纏っていた。
そういう音を迫力があると評価するする人がいるかもしれないが、
私の耳には、どんなディスク(録音)をかけても、ずっと同じ感じ(一本調子)でしか鳴らない音、
そんなふうにしか、感じられなかった。

これも、ある意味、音は人なりだな、思うとともに、
別の人が出していた音を思い出してもいた。

Date: 8月 2nd, 2024
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(取り残されてきているのか・その7)

一週間前はインターナショナルオーディオショウだった。
ブースをまわっていろんな音を聴いていると、ふと、思い出す音もある。

もう一度、聴きたいな、と思う音だったりもする。
今回思い出していたのは、けっこう前にノアのブースでの音だった。

スピーカーはソナス・ファベールのCremonaだった。
アンプは、当時のノアが扱っていたVTLの管球式だった。

無骨な外観の、このアンプはソナス・ファベールのスピーカーの仕上げに相応しいとは言えない。
それでも鳴っていた音は、相応しかった。

私の耳には、それまで聴いたソナス・ファベールの音よりも、
ずっとずっと魅力的だった。

また聴きたいと思ったけれど、聴く機会はなかったし、
VTLの取り扱いをノアはやめてしまった。
VTLのアンプは、あまり売れなかったのか。

正直、私もこの時の音を聴くまでは、
VTLの音を聴いてみたいとは思ってなかった。
偶然のタイミングで聴けたことを、いまでも好運だったと思うほどだ。

VTLを、その後、どこも取り扱っていない。
VTLは健在だ。

ずっとこのままなのだろうか。

Date: 8月 1st, 2024
Cate: Digital Integration

Digital Integration(roonのこと・その6)

今日、ある人とLANケーブルについて話していた。
共通の意見としてあがったのが、
LANケーブルは細い方が全般的に好ましい傾向がある、だった。

市販されている全てのLANケーブルを試聴したわけではないから、
あくまでも傾向としてではあるが、少なくとも癖は少ないといえると感じている。

LANケーブルはコネクターの形状で、挿せる向きが決まってしまう。
ケーブルの長さ、機器の設置条件によっては、ケーブルに余計なテンションが加わることがままある。
そういう場合、細い方が影響は受けにくいようだし、
そのこととも好ましい傾向があることは関係しているのだろう。

太いLANケーブルはすべて癖がある、といいたいわけではなく、
あくまでも細い方が癖が少ない傾向がある、ということ。