同軸型ウーファー(その3)
次に考えたのは、小口径ウーファーの周囲を大口径ウーファーで取り囲むように配置する、だった。
4インチ口径のウーファーのまわりに、8インチ口径もしくは10インチ口径のウーファーを複数配置する。
10インチならば、4インチの上下左右に、計四発配置する。
8インチならば六発くらい周囲に配置する。
いわば仮想同軸的配置である。
これも10インチと4インチの組合せだと、かなりおおがかりになる。
8インチと4インチでは、口径差がそれほどない。
なにかバカげている気がしてくる。
うまくいきそうにもない。
でも実際にやってみないと結果はなんともいえないのはわかっているのだが……。
もう一度考えたのは、最初の案である。
昔、ワトソン・オーディオのModel 10というスピーカーシステムがあった。
このモデルの最大の特徴は、ウーファーのエンクロージュア内にヘリウムガスを充填していることだった。
ヘリウムガスの音速は、空気の1/3程度。
ということはエンクロージュアの容積はヘリウムガスを充填することで27倍に相当する、というものだった。
そんなにうまくいくのかどうかは、私は音を聴いたことがない(実物も見てない)ためなんともいえないが、
確かにメーカーのいうように、驚くような低音が鳴っていた、らしい。
ただし新品の時だけであり、次第にヘリウムガスが抜けていき、ふつうのスピーカー並の低音になるそうだ。
どんなにエンクロージュアの密閉度を高めても、スピーカーユニット側から抜けていく。
振動板のところ、エッジから少しずつガスは抜けていくわけだ。
だが同軸型ウーファーの実験には必要な時間くらいはおそらくもつであろう。
そうであれば大口径ウーファーの前に小口径ウーファーを配置する。
小口径ウーファーのバックキャビティは200mlぐらいしか確保できないとしても、
ヘリウムガスを充填することで、計算上は5.4literになる。
これならば、なんとか工夫することで実験できるのではないか。