オーディオ機器の付加価値(その2)
オーディオ機器にとっての付加価値とはどういものがあるのだろうか。
いま私のところにはJBLのHarknessがある。
トーレンスのTD224、パイオニアのExclusive F3、EMTのTSD15、デッカのMarkVなどがある。
これらはすでに書いてきたように、岩崎先生がお使いだったモノだ。
その意味では付加価値があるオーディオ機器といえるわけだが、
ここでの付加価値はあくまでも私にとって、ということに限られるし、
付加価値とはいいたくない気持も強い。
岩崎先生の文章を読んできた読み手の一部にとっても、それは意味のあることで、
そういう人にも、岩崎先生のモノだったオーディオ機器ということは付加価値となるだろうが、
それを一般的な付加価値とは呼べない。
これに関することでいえば、このモデルは以前○○さんが使われていた、といわれるモノが市場に出ることがある。
仮に本当だとしても、すでに誰かの手にわたり、その人からまた別の人に、ということもある。
こういう場合にも、私にとって付加価値と同じ意味での付加価値があるといえるだろうか。
これは人によって違ってくることだろう。
あいだに何人かの人がいようと、そこに付加価値を認める人もいれば、
直接本人から譲ってもらったものでなければ、付加価値は認められない、という人もいる。
誰かが使っている(いた)ということは、付加価値になり得るのだろうか。
タンノイのオートグラフは五味先生が鳴らされていたスピーカーシステムである。
JBLの4343は瀬川先生、マッキントッシュのXRT20は菅野先生、
JBLのパラゴンは岩崎先生、ジェンセンのG610Bは長島先生、ボザークは井上先生……、
スピーカーシステムに限らず、アンプ、プレーヤーを含めるといくつもあげていける。
これは付加価値になるのか。
つまりはタンノイのオートグラフにとって、五味先生が鳴らされていた、ということは付加価値となるのか。