川崎和男氏のこと(その2)
ドリームデザイナーと書いてあっても、川崎和男という人がどんな人なのかは、まったく知らなかった。
とにかく読んでいこう、この人の書くものは、すべて読んでいきたい、と思いながら、
毎月18日のMacPowerの発売日には、必ず書店に寄り買っていた。
読んでいくうちに、すこしずつわかってくる。
川崎先生についても、Macのこと、コンピューターのことについても。
連載1回目から読んでいたわけではない。
だから単行本になるのを待っていた。1994年に「デジタルなパサージュ」が出た。
そして、乃木坂にあるギャラリー間で、個展を開催されると、「Design Talk」に書いてあった。
しかも、草月ホールで、講演会も行なわれる。
ギャラリー間と草月ホールのあいだは歩いて移動できるので、
講演会のある日の午前中、「プラトンのオルゴール」展に行った。
ギャラリーのあるビルに着くと、ビルの大きさからしてそれほどスペースは広くないことがわかる。
エレベーターを降りて、ギャラリーの入口の前で、立ち止まってしまったことを、
いまでもはっきりと憶えている。
そのスペースに入るのに、覚悟が要るというのも、変な言い方に聞こえるだろうが、
そう思った。引き返そうかとも思っていた。