Archive for category 音の良さ

Date: 7月 25th, 2013
Cate: 音の良さ

音の良さとは(その2)

少しでも良い音を求めて、時にはオーディオ機器を買い替えることもあるし、
細かな調整をやっていくこともある。

スピーカーの位置・向きをわずかに変えてみる、
スピーカーにレベルコントロールがあれば、ほんのわずか動かしてみる、
他にも細かなことはいくつもある。
ここに書き切れないほど、またうまく言葉でいいあらわせないような細かな多くの要素で音は変っていくのだから、
丹念に音を聴き、地道にやっていくことになる。

こんなことを年がら年中やっているわけではない。
やるときは、集中してやる。
いわば、それはオーケストラのリハーサルのような感じでやっている。

指揮者は楽器に直接ふれない演奏家である。
指揮者にとってのオーケストラが、オーディオマニアにとってのオーディオのシステムということになる。
オーディオのシステムの調整は、リハーサルそのものといっていいだろう。

徹底的にリハーサルを行う。
つまり、徹底してオーディオのシステムの調整を行う。
時には、ほかの人が気にしないようなところに執着しながらも、やっていくしかない。

そうやってオーケストラを鍛え上げるように、
オーディオのシステムを鍛え上げる。
そういう感覚が必要なのではなかろうか。

だからといって、本番で求めるのは、去勢された演奏(音)ではない。
高い演奏技術のうえに成り立つ自発性の高いものである。

Date: 7月 24th, 2013
Cate: 音の良さ

音の良さとは(その1)

音を聴く。
どこか誰かのリスニングルームで、その人の「音」を聴かせてもらう。

一枚目のディスクが鳴る。
一枚で終ることは、まずない。
二枚目、三枚目とディスクはつづいていく。

それまでまったく耳にしたことのないジャンルの音楽だとそうはいかないけれど、
よく聴くジャンルの音楽であれば、
それが初めて聴くディスクであったとしても、
三枚目あたりから、このディスクならこんなふうに鳴ってくるだろう、という予測ができるようになる。

三枚目あたりのディスクも初めてであったとしても、
途中まで聴いていれば、クラシックであれば曲そのものは知っているわけだから、
つづく箇所がどう鳴るのかは予測がつくものである。

予測のとおりの音が鳴ってきた。
そうかぁ……、とひとりおもっている。

予測した音が鳴ってくることは、悪いことではない。
ある程度、そのシステムが鳴っていることでもある。
どこかに大きな不備があれば、予測は外れることもあるからだ。

とはいえ予測のとおりの音が鳴ってきたら、それでいいのかといえば、そんなことはない。
むしろ、ここが「出発点」なのだから。

経験によって、予測は少しずつ精確になってくる。
だからといって、その予測が精確なことを自慢したいわけではない。
予測のとおりの音を求めているのでもない。
求めてきたわけでもない。

求めているのは、常に予測をこえる音である。