Archive for category 1年の終りに……

Date: 11月 13th, 2023
Cate: 1年の終りに……

2023年をふりかえって(その1)

2020年は11月8日から、
2021年は11月1日から、
2022年は11月10日から、それぞれこの項を書き始めている。

今年は毎日書くことをやめているので、
例年と同じころに書き始めないと、
書き終らないうちに2023年が終ってしまうかもしれない。

まだ二ヵ月近くあるけれど、
それでも今年は長かった、と感じている。

今年をふりかえって、
オーディオをずっとやってきたから出会えた人たちがいることを、
まず挙げたい。
例年よりも多くの人と出会えた。

こうやって新しい人と出会えるのは、
オーディオの大きな楽しみのひとつといえる。

年齢、仕事など、そういったことを抜きにしての関係が、そこにはある。

なぜオーディオはおもしろいのか、これほどながく続けられるのか──、
その問いへの答の一つが、このことのはずだ。

Date: 12月 31st, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年の最後に

別項で「好きという感情の表現」を書いている。
「好きという感情の表現」を書き始めたときには、さほど意識していなかったけれど、
今年一年、あれこれあっておもうようになったのは、
好きは感情であって、好きと愛は違う、ということだ。

オーディオ愛、音楽愛、
これらだけでなく、他にも○○愛という表記は、よく目にするし耳にもする。

けれど音楽愛にしてもオーディオ愛にしても、
実のところ、好きという感情だけでなく、
感情すべてを削ぎ落としていった先にあるのではないのか──、
そんなことを考えるようになった一年だった。

誰かを好きになる。
それは、その人を愛しているのか。
そのことに疑問を抱くようになった。

誰かを好きになって、
その人に会いたい、とか、いろいろなことをおもったりする。

好きという感情、会いたいという感情、
その他、いろいろな感情を根こそぎ削り落としていけるのか。

削ぎ落としていって、何もなかったとしたら、
そこには愛はなかったのではないか──。

そんなことを考えるようになったから、
ひとつ前の「オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる(その15)」である。

Date: 12月 30th, 2022
Cate: 1年の終りに……, 映画

2022年をふりかえって(その16)

今年劇場で観た映画は三十本弱。
20代のころは百数十本観ていたのだから、ずいぶん減っている。

もっと劇場で映画を、と思いながらも、
NetflixやPrime Videoをけっこうみているから、
つい、もう少し待てば──、そんなことを思ってしまう。

三十本弱という、多くない映画のなかで、
今年いちばん印象に残っているのは、「ミセス・パリス、パリへ行く」だ。

東京では、TOHOシネマズシャンテで、まだ上映している。
もう一度観たい、と思っているところ。

Date: 12月 27th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その15)

今年は、オーディオ機器がやって来た一年ともいえる。

春にヤフオク!でGASのTHAEDRAを手に入れた。
今年は、ここから始まったといえる。

いくつかはここでも書いたが、書いていないモノもいくつかある。
ひさしぶりに真空管アンプもやって来た。
三十数年ぶりか。

そして終のスピーカーもやって来た。
終のスピーカーといっしょにやって来たモノがいくつかある。

CDトランスポート、コントロールアンプ、パワーアンプ、
それにグラフィックイコライザーとデヴァイダーである。

すべてを使う予定はないので、コントロールアンプとグラフィックイコライザーは、
友人のところに、残りは私のところに、となった。

ここに書いていない、けっこう大型のモノもある。
これは友人に預ってもらっている。
置く場所もないし、使う予定もない。

とにかく、いろんなオーディオ機器がやって来た。
こんなに多くのオーディオ機器がやって来た年は、初めてである。

そんなふうにして今年は終ってゆくし、
これらをきちんとセッティングすることから来年は始まる。

Date: 12月 26th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その14)

別項で「岩崎千明と瀬川冬樹がいない時代」を書いている。
そう、いまは、これからはずっと「岩崎千明と瀬川冬樹がいない時代」が続いている。

その「岩崎千明と瀬川冬樹がいない時代」に、
私はジャーマン・フィジックスのTroubadour 40で音楽を聴いていく。

そのことを意識した2022年12月だ。

Date: 12月 25th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その13)

オーディオ評論家の領域を超えたところでの仕事、
オーディオ評論家の領域を逸脱してしまった行為。

前者をめざしていたはずなのに、気づいたら後者であった──。
それが朝沼予史宏氏が、Components of the yearの選考委員ではなくなった理由だ。

具体的ないくつかのことは、
菅野先生からではなく、他のオーディオ業界の人らから聞いている。

オーディオ業界にいない私の耳に、そのことは伝わってきたくらいなのだから、
業界の人たちは、もっと具体的なことをもっと多く知っていたであろう。
どんなことなのかもいくつか知っている。
けれど、その具体的なことは書かない。

菅野先生が、あの日「朝沼くんは、やりすぎたんだよ」といわれた。
朝沼予史宏さんを慮ってのことばである。

菅野先生が朝沼予史宏氏を追い出したと思い込んでいる人たちは、
そうは思えないだろうが、慮って、である。

菅野先生はComponents of the yearの選考委員長として、
朝沼予史宏氏を選考委員から外されたのは、
苦渋の決断である。

菅野先生は、こう続けられた。
「朝沼くんならば、きっとやり直せる、はい上がってくるはずだ」と。

そのころの朝沼予史宏氏の行為は、オーディオ評論家の領域を逸脱してしまった行為だ。
オーディオ評論家の領域を超えたところでの仕事ではなかった。

逸脱した行為を続けていては、朝沼予史宏という一人のオーディオ評論家をつぶしてしまうことになる、
朝沼予史宏という才能を殺してしまうことになる。

そんなことになる前に──、なんとかするために──。
菅野先生は選考委員から朝沼予史宏氏を外された。
そのことによる影響の大きさは、菅野先生がいちばんわかっておられたはずだ。

そのことによってしんどい時期があっても、
朝沼予史宏氏ならば、はい上がってくれる、と信じておられた。

時間はかかるだろうが、
腐らずにオーディオ評論という仕事を全うしていけば、
再びComponents of the yearの選考委員になれたのである。

なのに朝沼予史宏氏が、突然逝ってしまわれた。
こんなことになろうとは、菅野先生もまったく予想されていなかった。

だから、あの日の菅野先生は落ち込まれていた。

昨晩、今晩と続けて書いてきたことは、
以前、別項で書いていることのくり返しでもある。

いまも菅野先生が朝沼予史宏氏を追い出した、と信じている人がいる。
だから、また書くことにした。

Date: 12月 24th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その12)

今年は2022年。
2002年12月から二十年が経った。

2002年12月8日の午前中、私は菅野先生のお宅に伺っていた。
ドアのチャイムを押すと、菅野先生がドアを開けてくださったのだが、
その時の菅野先生の顔は、いつも違っていた。

体調を崩されたのか、と最初思ったし、日を改めた方がいいかも──、
そんなことを思いもしたけれど、そんな感じではなかった。
沈痛な面持ちとは、このときの菅野先生の表情をいうのだと、思った。
そういう表情だった。

そして「朝沼くんを知っているか」ときかれた。
朝沼予史宏氏のことだ。
もちろん知っていた。

朝沼予史宏氏はペンネームである。

「沼田さん(本名)は知っています」と答えた。
「そうか……」とぼそりといわれた、と記憶している。

そして「朝沼くんが亡くなったんだよ」と続けられた。

このころ、朝沼予史宏氏は、
Stereo Sound Grand Prixの前のComponents of the yearの選考委員の一人だった。
けれど降ろされていた。

そのこともあって、一部のオーディオマニアは、
菅野先生が朝沼予史宏氏の才能をつぶそうとして、
選考委員から外した──、そんなことをいっている人がいたし、
インターネットの掲示板に匿名で書きこむ人もいた。

そんなことを聞いた人、読んだ人は、どう思ったのか。
それを事実だとおもってしまったのかもしれない。

そんなことは絶対にない。
あの日の、菅野先生の表情を、私ははっきりと思い出せるし、
菅野先生から、この件について聞いてもいるから、そう断言できる。

Date: 12月 22nd, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その11)

今年は、例年以上にステレオサウンドにがっかりした一年だった。
今年もステレオサウンドは面白かったよ、という人が少なからずいるだろうが、
私にとっては──、というと、
年四冊のうち、二冊がオーディオの殿堂、ステレオサウンド・グランプリ、ベストバイ。
残り二冊の特集の企画に期待したいところだったが、それもかなわなかった。

そもそも期待していたわけでもなかったので、がっかりしているわけでもない。
ただそれにしても──、と例年以上に思うだけだ。

ステレオサウンドはそんなぐあいだった。
オーディオアクセサリーも同じ感じなのだが、
同じ音元出版のanalogは、別項でも触れているように期待がもてるところを、
少しは感じることができる。

だからといって、これから先ますます期待に応えてくれるようになっていくのか、
それとも反対方向へと進んでいくのか。
そのへんはまだなんともいえないが、期待できないオーディオ雑誌ばかりでは、
やはりつまらない。

期待したいのだ、本音は。
オーディオ雑誌を楽しみにしたいのだ。

ステレオも期待できるかな、と思わせながらも、
別項でリンクしている動画をみるかぎりは、大丈夫だろうか、と心配になってくる。

馬脚をあらわすのか、それともよくなっていくのか。
2023年の十二冊が楽しみだ。

Date: 12月 10th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その10)

今年は、オーディオ機器の値上りがいくつもあった。
値上りしているのはいうまでもなくオーディオ機器だけではなく、
おそらく来年も値上げが発表されるであろう。

特に海外製品は為替相場も関係してくる。
定価をつけることが難しくなってきたから、
オープン価格にせざるをえない──、といっているところもあるときいている。

来週には、ステレオサウンド 225号が出る。
特集は、いうまでもなくステレオサウンド・グランプリとベストバイ。

ステレオサウンドの定番企画でベストバイは35号が一回目で、
つづく43号、47号の三回は価格帯を設けずの選定だった。

四回目の51号から価格帯を分けての選択となっていった。
そして、それがずっと続いている。
どこで価格帯を分けるのかは、時代によって違ってきているが、
果たして価格帯を設けることの意味はあるのか、とずっと思っている。

225号はまだ見ていないが、価格帯を分けてのベストバイであろう。
どの価格で線引きするのか。
線引きした価格近辺の製品は、来年には値上りして上の価格帯に、ということだって、
今の状況なら十分ありうる。

ベストバイという定義によっては、
価格帯を分けるのはおかしいということだっていえる。
私は、価格帯を分けるべきではないと考える。

ステレオサウンド編集部は、それぞれの製品ジャンルのどこで価格帯を分けたのか。

Date: 12月 10th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その9)

メリディアンの210だけでなく、
MQAのコアデコードに対応しているストリーマーには、SPDIFのデジタル入力はない。

MQAのコアデコードに関係なく、ストリーマーと呼ばれる製品には、
SPDIFのデジタル入力は必要ないと考えるのだが、
実際のところ、つまり日本の現在ということに関しては、
SPDIFのデジタル入力があってほしい、とおもってしまう。

TIDALやe-onkyoを活用している人にとっては、特に必要ないといえるが、
パッケージメディア、つまりCDだけという人にとっては、
MQA-CDを買っても、D/Aコンバーターが対応していない、
けれどMQAのコアデコード対応のストリーマーを買ってきても、
SPDIFのデジタル入力がないから接続できない──、
そんな状況になってしまうからだ。

もうこれは日本だけの特殊事情といえる。

Date: 12月 9th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その8)

メリディアンの210は、210 Streamerである。
製品ジャンルとしては、ストリーマーということになる。

ストリーマーは、今後製品が活発に登場してくるであろう製品ジャンルであり、
今年いくつか登場したストリーマーのなかには、
210と同じくMQAのコアデコード機能をもつモデルがある。

私が聴いているのは210だけなのだから、
それらのモデルの音がどうなのかについては何も語れないのだが、
メリディアン以外からのMQAコアデコード機能をもつストリーマーの登場は、
MQAのエヴァンジェリストを自認する私としては、嬉しい一年だったといえる。

来年もそういうモデルが登場してほしいし、
そしてなによりもTIDALの日本でのサービスが開始されてほしい。

Date: 12月 5th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その7)

2019年に発表になったメリディアンの210。
オンキヨーのせいで、日本は二年半ほどおあずけをくらった。

210は別項で書いているように9月に少しの期間使うことができた。
いままた使っている。

使っていると楽しい。
確かにこれはチューナーでもあるな、と感じる。
しかも魅力的なチューナーである。
即物的な性能重視のチューナーではない(この点に関しては、別項で書く予定)。
そこのところにおいても、実に楽しいオーディオ機器である。

そしていろんなオーディオ機器と組み合わせ試してみたくなる。
別項でも触れているように、96kHzまでのコアデコードが可能だから、
MQAに対応していないオーディオ機器と組み合わせたい。
D/Aコンバーターよりも、D/Aコンバーター搭載のアクティヴ型スピーカーと組み合わせてみたい。

つい、どんな製品があるのか、価格はいくらくらいなのか。
それが気になってきているし、それほど高くなければ買ってみようかな、と思うぐらいだ。

終のスピーカーがやって来たから、そういう余裕があっても、
それらすべてを終のスピーカーにもってきたいので、買うことはしないだろう。

それでも、いろんな組合せを想像するだけでも210の存在は楽しませてくれる。
210を、今年の新製品と呼んでいいのか。

そうなのだが、日本では今年発売になっているのだから、今年の新製品であるわけだ。
少なくとも私にとっては今年の新製品であり、
これからの時代の音楽の聴き方(接し方)をより楽しいものにしてくれる。

Date: 12月 5th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その6)

11月が近くなると、毎年、この項のテーマについて、
今年は何を書こうかな、と思いはじめる。

今年は、ジャーマン・フィジックスのTroubadour 40がやって来たことによって、
書こう、と思っていたことのいくつかを忘れてしまった。

いくつか書こう、と思っていたのに、思い出せずにいる。
そのくらいTroubadour 40がやって来たことの衝撃は大きい。

Troubadour 40について書き始めると、止らなくなるから、
かなり自制している。

Troubadour 40のことばかり書いていると、またTroubadour 40のことか、
そうおもわれても別にかまわないのだけれども、いまのところは抑えておく。

本格的にTroubadour 40を鳴らすようになったら、書くことがいろいろと出てくるだろうからだ。

Date: 12月 1st, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その5)

オーディオに関しては、私にとって再会の一年だった。
昔を懐かしがって聴くための再会ではなく、
新しい世界(領域)への一歩となる再会である。

Date: 11月 21st, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その4)

別項で書いているように、今年はまずGASのTHAEDRAがやって来た。
それからラックスキットのKMQ60(50CA10のプッシュプル)と、
50CA10のシングル自作アンプが夏にやって来た。

そして昨日、終のスピーカー(Troubadour 40と4PI)がやって来た。

けれど、今年やって来たのは、これだけではなく、ここでは何が来たのかはあかさないけれど、
私自身、ちょっと驚くようなモノが来たし、他にもいくつかやって来た。

どうしたんだろう、今年は? 
そういいたくなるほど、オーディオ機器が集まってきている。

そろそろ本気で引っ越しを考えはじめているところだ。