Date: 11月 13th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その4)

別項で「オーディオのプロフェッショナルの条件」を書いている。

オーディオのプロフェッショナルとは、どういうことなのか。
今年は、そのことについて、いつも以上に考えさせられることが、
いくつか重なった。

結局、オーディオ業界にいて、お金を稼いでいれば、
その人はオーディオのプロフェッショナルということになる──。

もちろん、そういうレベルの低い人ばかりではないことはわかっている。
それでも、オーディオのプロフェッショナルを自称している人の中には、
そういうレベルの人が、決して少なくないことを、
今年は目の当たりにすることが何回かあった。

おそらく、ではなく、きっと来年も、そういう人を目の当たりにするであろう。

Date: 11月 12th, 2024
Cate: 4343, audio wednesday, JBL

audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343・余談)

11月6日のaudio wednesdayで鳴らしたJBLの4343は、
宇都宮から運んでくる必要があった。
当初は、私がクルマと運転手を手配して、という手筈だったのが、
頼んでいた人が、ストレスで短期間ではあったけれど引きこもりになってしまった。
いまは元気になっているけれど、
前もって運搬・搬入しようとしていた時は、
頼めそうな感じではなかった。

もう一人、声をかけていた人もいたが、
この人は心筋梗塞で入院してしまった。

4343のオーナーのHさんは、クルマへの積み込みと移動は、
レンタカーを手配して、一人で大丈夫という方だったので、お願いすることになった。

これで安心と思っていたら、
11月2日に、彼が予約していたレンタカーが事故にあって、
借りれなくなった、代車が用意されるようだ──、
という連絡があった。

3日の夜になってもレンタカー会社からの連絡がないので、
最悪運べないかもしれない可能性も出てきた。

4日に連絡があって、代車が用意された、とのこと。

これでほんとうに安心できる、と思った。

4343は無事届いた。
けれど、すでに書いているように、予想しない不具合が発生。
4343に原因があるのではなく、
他のところによる不具合なのだが、どこなのかがなかなかはっきりとせず、
けっこうな時間を費やしながら、
少しだけ、何かに邪魔されているのか……、そんなことも思ったりした。

しかもトラブルはもう一つあって、
前日夜にHさんが4343をチェックしたところ、2405が鳴らなかったそうだ。
深夜まで時間をかけて、鳴るようになった、という話を、
準備している時に聞いていたものだから、
いったいなんなんだろう──、と思うしかなかった。

そんなことがあったけれど、4343はよく鳴ってくれた。

Date: 11月 11th, 2024
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その21)

(その20)で聞いたことを試してみる機会はなかったけれど、
12月のaudio wednesdayではやれる。

D/Aコンバーターにはメリディアンの218を使うから、
デジタル処理で極性を反転できる。

通常の接続時の音と、(その20)で書いた接続では、
どのような音の変化があるのだろうか。

意外と大きいのか、逆に小さいのか。
まったく(ほとんど)同じとはならないと思っている。

このことを含めて、12月のaudio wednesdayを、
私は楽しみにしている。

Date: 11月 10th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その3)

audio wednesdayで音を鳴らすようになったこともあって、
今年はメリディアン のUltra DACを三回聴くことができた。
3月、6月、11月の三回だ。

このことも今年をふりかえって、嬉しかったことのひとつとして挙げたい。

Date: 11月 9th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その2)

2020年12月、喫茶茶会記の閉店・移転に伴い、
audio wednesdayもいったん終了した。

2022年9月から再開したaudio wednesdayだけれど、
くり返し書いてきているように、どこか特定の場所を確保して、というわけではなかった。
とりあえず継続させていこう──、そこにとどまっていた。

なので以前のように音を出すことはできないでいた。
それが今年から大きく変った。

また音を鳴らせる。
聴いてもらえる。
このことの楽しさ、喜びはやってみればわかる。

確かに面倒なことは、常にある。
特にスピーカーをどうするかは、悩むところだった。
それでも毎回終ると、やってよかった、と思える。

喫茶茶会記からの常連の人たちも来てくれるし、
新しく常連となられた方たちもおられる。

これまでオーディオに関心のなかった人が、関心を持ってくれるようになったのは、
本当に嬉しいことだ。

今年はあと一回ある。
すでにスピーカーは搬入済みだから、気が楽だ。

12月に鳴る音も、個人的に楽しみにしている。

とにかく音を鳴らせるaudio wednesdayが、始められた。
そういう一年だった。

来年も続いていく。

Date: 11月 8th, 2024
Cate: 4343, audio wednesday, JBL

audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343・その5)

2012年12月に、別項にこう書いた。

ステレオサウンド 61号の編集後記に、こうある。
     *
今にして想えば、逝去された日の明け方近く、ちょうど取材中だったJBL4345の組合せからえもいわれぬ音が流れ出した。この音が先生を彷彿とさせ、話題の中心となったのは自然な成り行きだろう。この取材が図らずもレクイエムになってしまったことは、偶然とはいえあまりにも不思議な符号であった。
     *
この取材とは、ステレオサウンド 61号とほぼ同時期に発刊された「コンポーネントステレオの世界 ’82」で、
井上先生による4345の組合せのことである。
この組合せが、この本の最初に出てくる記事にもなっている。

ここで井上先生は、アンプを2組選ばれている。
ひとつはマランツのSc1000とSm700のペア、もうひとつはクレルのPAM2とKSA100のペアである。

えもいわれぬ音が流れ出したのは、クレルのペアが4345に接がれたときだった、ときいている。

このときの音については、編集後記を書かれたSさんにも話をきいた。
そして井上先生にも直接きいている。
「ほんとうにいい音だったよ。」とどこかうれしそうな表情で語ってくれた。

もしかすると私の記憶違いの可能性もなきにしもあらずだが、
井上先生は、こうつけ加えられた。
「瀬川さんがいたのかもな」とも。

このことがあったから、今回、パワーアンプはクレルのKSA100にした。

Hさんは、クレルのパワーアンプを他にも持っている。
KMA200とKMA100である。
その中でKSA100を持ってきてもらったのは、上記の引用が理由だ。

しかも井上先生の4345の組合せの試聴は1981年の11月6日。
このころの井上先生のことだから、試聴がはじまったのは、
早くても夕方から、大抵は夜になってからで、
4345から《えもいわれぬ音》が鳴ってきたのは、
翌7日の朝早い時間のはず。

今回のaudio wednesdayも11月6日。
無理なこととはわかっていても、できれば朝方まで鳴らしたかった。

Date: 11月 8th, 2024
Cate: 4343, audio wednesday, JBL

audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343・その4)

11月6日のaudio wednesdayで鳴らしたJBLの4343は、
宇都宮に住むHさんのモノである。

彼は四谷三丁目の喫茶茶会期からの常連で、当時は愛知、兵庫から来てくれていた。
audio wednesdayが終ったあと、新宿から深夜バスで帰り、
翌日は、もちろん朝から仕事。若いなぁ──、と思っていた。
彼はまだ30代。今は宇都宮なので、アンプやスピーカーを、
audio wednesdayに持ってきてくれる。

クレルのKMA200、アポジーのDuetta Signatureも、
彼の私物である。

彼が4343を一人でクルマに積み、運んできてくれた。
クルマの後ろの扉を開ける。

横置きで積まれた4343の底板が見える。
4343は1976年登場で、1981年くらいまで製造されていた。
四十年から五十年近く経っているわけだから、
新品同様ということはまずない。
底板は、調整の際、動かすわけだから、多少なりとも傷が残る。

そんな底板を見た時は、それだけの年月が経っていることを感じていた。

それでも運び込み設置。
アンプやその他の器材もセットして結線して──、
けれどすでに書いたように予想外の不具合が発生して、
4343からやっと音が鳴ってきたのは、けっこう時間が経っていた。

やっと落ち着いてソファーに座り、音をきちんと聴く。
その時改めて、4343はスーパースターだ、と、感じていた。

佇まいが、そうだった。
お互い歳をとったけれど、4343はやはりスーパースターのままだった。
様になるスピーカーのままだった。

Date: 11月 7th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343を終えて)

昨晩のaudio wednesdayは、JBLの4343を鳴らした。
予想できなかった、しかも初めての不具合の解消にかなり時間をとられて、
十全な調整が行えたわけではなかったが、
自己採点ではあるが、まあうまくいったと思っている。

それにしても今回の不具合の原因は、意外なところにあって、
それゆえに手間取ったわけだが、大きな経験にもなった。

4343を自分の手で鳴らすのは、ステレオサウンドにいたから以来だから、ほぼ四十年ぶり。
4343の音を聴いたのは2005年、
早瀬文雄さんのリスニングルーム以来である。

1976年に登場した4343だから、五十年近く前のスピーカーとなる。
古いスピーカーといえば、確かにそうなのだが、
だからといって、その一言で切って捨てられるほど、
軟弱なスピーカーではない。

いつもは端っこで聴いているのだが、
今回だけはいちばんいいポジションで聴いていた。

書きたいことはもっとある。
それは個人的な想いばかりだから、この辺にしておく。

Date: 11月 6th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十一夜(BOSE 901 Series Vと現代音楽)

12月4日のaudio wednesdayは、
現代音楽をBOSE 901で聴く、がテーマである。

10月に予定していたが諸事情で12月に延期。
現代音楽にうとい私だから、選曲は常連のHさんにお願いした。
なので当日は、私はいつもと違い聴く側にまわれる。

アンプはマッキントッシュのMC275を予定している。
別項で聞いたことがあるように、ステレオサウンドの試聴室で、
CDプレーヤーをMC275に接続し、901を鳴らしたことがある。

その音の記憶があっての、もう一度、聴いてみたいと常々思っていた。

今回は901だけでなく、エラックのトゥイーターも使う。
どんなふうに変化するのか、それも楽しみにしている。

あとひとつ、これは当日、実際に試してみないことにはうまくいくのかどうか、
なんともいえないが、考えていることがある。

そういうことを含めて現代音楽を聴いていく。

Date: 11月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343・いよいよ明日)

明日(11月6日)のaudio wednesdayは、JBLの4343を鳴らす。

パワーアンプは、クレルのKSA100。
D/Aコンバーターは、メリディアンのUltra DACだ。

書きたいことはいっぱいあるけれど、もう書かなくてもいいだろうという気持も強い。

明日、鳴らすだけであるため

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 11月 5th, 2024
Cate: 瀬川冬樹

虚構を継ぐ者(その6)

映画「八犬伝」を観てきた。

映画後半で、渡辺崋山が滝沢馬琴に語るシーンがある。
オーディオにそのまま当てはまることが語られる。

深く感じるものがあるはずだ。

Date: 11月 4th, 2024
Cate: デザイン

オーディオ・システムのデザインの中心(その34)

オーディオというシステムのデザインの中心は、コントロールアンプだ、と書いた。

そう考えている私なのだが、自分のシステムに常にコントロールアンプが存在していたわけではない。
いわゆるパッシヴフェーダーを使っていた時期が、二年ほどあった。

そのころはCDばかりだったからではなく、
アナログプレーヤーは、トーレンスの101 Limitedで、
イコライザーアンプを搭載していただけでなく、
CDプレーヤーのスチューダーのA727、どちらもトランスによるバランス出力を備えていたから、
ドイツのエッグミラーのH型を使っていた。

オーディオというシステムのデザインの中心──、
そういうことはまったく考えていなかった時期でもある。

だからといって、個々のオーディオ機器のデザインについては、
あれこれ言ったり思うところもあったりしていたのだから、
いまから見ると、未熟だったなぁ、とも思う。

Date: 11月 3rd, 2024
Cate: 「本」, 老い

オーディオの「本」(ラジオ技術のこと・その3)

ラジオ技術が、いよいよ終りを迎えそうである。
私の中では、終りを迎えている──、
そんな受け止め方をすでにしているが、
どうみても、復活することはないように感じている。

それもきちんとした終りではなく、振り返って、
あれが終りだったのか……、そんな感じにもなりそうである。

個人的には復活してほしい、と思っている。

まだ休刊しているわけではないから、
復活というのはおかしいだろうと指摘があるだろうが、
やはり「復活」である。

Date: 11月 3rd, 2024
Cate: 「かたち」

音の姿勢、音の姿静(その5)

音の姿勢と音の姿静。

10月20日の野口晴哉記念音楽室 中秋会での594Aの音を聴いて、
音の姿勢と音の姿静が、呼吸のように聴こえてきた。

Date: 11月 2nd, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その1)

2020年は11月8日から、
2021年は11月1日から、
2022年は11月10日から、
2023年は11月1日から、それぞれこの項を書き始めている。

今年は今日(11月2日)から。

まだ二ヵ月あるから、何が起こるか(起こらないか)は、
まったくわからないけれど、それでもひとつ思っているのは、
オーディオ関係の友人、仲間、知人で亡くなった人がいないことだ。

昨年は、同世代の友人(オーディオ仲間でもある)が亡くなった。
私より少し年上のオーディオ関係の知人、仲間も亡くなった。

だから今年は、誰も亡くなっていないことが、ほっとする。

これから先、何年生きているのかはわからない。
私よりも先に亡くなるオーディオ関係の友人、仲間、知人がいることだろう。

人はみな死んでいくのだから、
嘆いたりはしないが、一人去り、また誰かが去り……、
最後の独りになる可能性もある。

菅野先生が「みんないなくなったよ……」と呟かれたことがあった。
岩崎先生が亡くなり、瀬川先生も、その四年後に──、
1990年代になり、また一人、また一人──と、
菅野先生の周りにいてオーディオ評論家として活躍されていた人が去った。

ながく生きるとは、そういうことでもある。