オーディオ・システムのデザインの中心(その3)
1967年、オーディオ機器へ物品税がかかるようになり、
それまでは部品扱いだったアンプやスピーカー、プレーヤーが、完成品とみなされるようになった。
車は車一台で車としての機能を持っている。
けれどオーディオ機器の場合、アンプだけを買ってきても、それだけでは音は出てこない。
スピーカーシステムにしてもプレーヤーシステムにしても同じで、
レコードを聴くには最低でもプレーヤーシステムとアンプ、
それにスピーカーシステム、もしくはヘッドフォンを買ってこなければならない。
その意味では、確かにオーディオ機器は「部品」という見方ができる。
その「部品」を買ってきて、自分のためのシステムを構築する。
システムとは「個々の要素が有機的に組み合わされた、まとまりをもつ全体。体系」と辞書にはある。
まとまり・まとまるとは「ばらばらであったものが集まってひとつになる。また統一のある集まりとなる」ことだ。
ばらばらであったものが集まるには、中心となるもの(モノ)があってこそ、成り立つのではないのだろうか。
中心がなければ、ばらばらであったものは、いつまでたってもばらばらである。
オーディオというシステムにおいて、中心となるのはスピーカーシステムということになる。
まずスピーカーありきで、組合せを考えることは始まる。
ずっと以前は、多くのオーディオ雑誌にあった相談コーナーのページで、
「このアンプに合うスピーカーはなんですか」と読者の質問が少なからずあった。
いまでもインターネットに、昔と同じようにあるようだが、
いまも昔も、くり返すが、まずスピーカーありき、である。