plus(その3)
アナログディスク・プレーヤーも、基本的には機械仕掛けが主であるオーディオ機器である。
ここにも、さまざまな電気仕掛けが、これまで試みられてきた。
こんな体験をしたことを、電気仕掛け、機械仕掛けで思い出した。
リンのLP12について、である。
LP12はいまではひじょうに高価なプレーヤーになってしまったけれど、
発売当時は安価なプレーヤーであった。
EMTのプレーヤーが欲しくてもまったく手が届かなかった学生時代、
リンのLP12は魅力的な存在だった。
トーンアームなし、カートリッジもなしのターンテーブル本体のみとはいえ、930stの約1/10の価格。
930stの内容の割にはコンパクトにまとめられているけれど、
LP12はもっと、ずっとコンパクトで、930stがリムドライヴに対しベルトドライヴなのも、よかった。
LP12ならば930stを購入したあとでも、別の魅力をもつプレーヤーとして使い続けられるであろう──、
そんなことを考えてきたこともある。
結局LP12を買うことなく、930st(101 Limited)にいってしまったわけだが、
だからといってLP12の魅力が薄れたわけではない。
国産のトーンアームだとダストカバーがしまらない、という使い勝手の問題は、
SMEの3009を使うか、潔くダストカバーの使用をあきらめるかで対処できるし、
930stがカートリッジが固定されるから、
こちらはあれこれカートリッジを交換するためにもオーディオクラフトのAC3000MCがいいな……、と
そんなことを思っていた。
LP12は何度かステレオサウンドの試聴室で聴く機会にめぐまれた。