長島達夫氏のこと(その8)
「オーディオ真夏の夜の夢」もステレオサウンド 50号の「2016年オーディオの旅」同様、
未来の世界にタイムスリップした現代のオーディオマニアの視線から描かれている。
こんな書き出しではじまっている。
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あるオーディオ・ファイルという人の家に行き、そこで一番驚いたのは、オーディオ・システムらしきものはあるものの、レコードが1枚も無いことでした。多少スタイルが違っているとは思っていたのですが、1枚も無いとは。そこでその彼に聞くと次のように言うのです。「君達はレコードを買っていただろうけど、それはレコードの中味、つまり音楽を買っていたはずだ。だから聴きたいときに聴きたい音楽が聴ければ何も生活空間を犠牲にしてまで膨大なレコードを持ち込む必要はない。
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長島先生が書かれている、このことがどういうことなのかは、
続きを書かなくても、いま(2013年)のオーディオマニアならば容易に想像がつくことだ。
長島先生はレコード会社がマスターとなるソースを所有していて、
それを聴き手のリクエストに応じて、
光ファイバーの利用して提供するというシステムを、1981年の時点ですでに予測されている。
そのためには家庭にコンピューターが当然のモノとしてある、ということもについても、同じである。
「2016年オーディオの旅」では、レコードはLPやCDのようなディスクではなく、
固体メモリーを利用したレコードパックと呼ばれるものを、
タイプライター状のプレーヤーにセットするというものだった。
これが2年後には、光ファイバーによるインターネットという予測の変更をされている。
これに、私は驚いたわけである。