岩崎千明氏のこと(続×五・Electro-Voice Ariesのこと)
後になって(といってもかなり後のこと)読み返してみると、
「エレクトロボイスの音は、クラシック向きで、たいへんおとなしい音だとよく誤解される」とある。
以前のエレクトロボイスとは印象の変化があったことが読みとれるわけだが、
そのことに気づかされるのは、少し先のことであり、それも少しずつであった。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」には、もうひとつエレクトロボイスのスピーカーシステムが登場している。
Interface:Aである。菅野先生の組合せにおいて、である。
Interface:Aも外観も、やはり黒っぽい。
1976年暮の時点でのエレクトロボイスのスピーカーへの私の印象は、
私が好んで聴く音楽とは無縁と思われる、そういうスピーカーであった。
エレクトロボイスの歴史について少し知るきっかけとなったのは、
ステレオサウンド 45号の「クラフツマンシップの粋」で、エレクトロボイスのPatricianが取り上げられたことだ。
エレクトロボイスが過去に、こういう大型の、
それもSentryやInterfaceシリーズとはまったく異る趣のスピーカーシステムを作っていたことを知った。
そして、この「クラフツマンシップの粋」を読んでいくと、
エレクトロボイスのドライバーのダイアフラムは、
JBLやアルテックに採用されている金属系ではなく、フェノール系だということを知り、
エレクトロボイスへの興味がさらに増していった。
フェノール系のダイアフラムの音について、井上先生が記事の最後に語られている。
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現在は、ホーンドライバーはウェスタン系が主流になっているから、ホーン型というとカッチリしたクリアーで抜けが良くて、腰の強い音という認識があるけれど、これに対してEVのホーン型ユニットの音は、むしろ柔らかくてもっとしなやかですね。特に弦の再生がウェスタン系とは決定的に違って、すごく滑らかでキメの細かい音でしょう。メタルダイアフラムでは絶対に出ない音です。
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ステレオサウンド 45号は1977年暮に出ている。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」からちょうど1年後のことであった。