Date: 1月 7th, 2013
Cate: 岩崎千明
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岩崎千明氏のこと(続々続・Electro-Voice Ariesのこと)

1976年暮に音楽之友社から出版された「ステレオのすべて ’77」に、
「海外スピーカーユニット紳士録」という記事が載っている。
岩崎先生が語られたものを編集部がまとめたものである。

記事タイトルが表している通り、
海外各国のスピーカーユニットについて語られている。
エレクトロボイスのスピーカーユニットについても語られている。
     *
 エレクトロ・ヴォイスのSP8とか、あるいはSP12というスピーカーを見ますと、今はなくなってしまったけれども、グッドマンのユニットによく似ています。あるいはワーフェデール系のユニット。メカニズムですと、リチャード・アレンなんかも外観から見てね、コルゲーションの付いた、しかもダブル・コーンということでね、大変よく似ているわけです。
 で、その辺からもエレクトロ・ヴォイスというのが、先程ヨーロッパ的と言いましたが実はヨーロッパ的というよりも、これは英国的なんです。ですからアメリカにすれば、英国製品というのは、やっぱり舶来品でね、非常に日本における舶来礼賛と同じように、アメリカにおいてはかつて、ハイファイ初期において、非常に英国製品がアメリカを席巻していた時期が、これはオーディオの最初ですから、大体一九五〇年の前半から、終わり近くまでということになるんですからね。つまりステレオになってからARがのし上がる、その前の状態では、ワーフェデールにしたって、グッドマンにしたって、アメリカでは最高でまかり通っていたわけで、その辺のスピーカーとエレクトロ・ヴォイスの場合は、非常によく似ているわけです。実を言うと、音色にもそういう面があって、それからパワーの、高能率であってパワーを必要としないという点でも、エレクトロ・ヴォイスというのは極めて英国的な要素を持っていたと思うんです。で、外観から言うと、コイルの大きさとか、そういう点で非常にぜいたくな、金のかかったシステムなんで、ヴォイス・コイルも英国系と違って、ずっと太い。そういうところもアメリカ的には違いないんですけどね。音響的な性格というんですか、あるいは振動系の基本的な考え方というのは、英国オーディオ・メーカー、あるいは英国のスピーカー・メーカーと共通したところがあると思うんです。で、中音の非常に充実感の感じさせるところもね。いかにもその辺も英国的なわけですよ。
     *
エレクトロボイスについて語られている、といっても、
ここではフルレンジユニットのSP8、SP12のことであり、
このふたつのフルレンジに対してもっておられた印象が、
そのままエレクトロボイスのスピーカーシステムに対しても同じであったのかどうかは、
この記事だけではなんともいえないものの、そう大きくと違っていないはずだ。

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