D130とアンプのこと(その34)
オルトフォン(Ortofon)は、
ギリシャ語で正確を意味するオルトと音を意味するフォンを組み合わせた造語で、
正確な音になり、オルトフェイズは正確な位相ということになる。
カートリッジに関係する造語ではシュアーのトラッカビリティがもっとも有名で、
いまもこのトラッカビリティが技術用語のひとつだと思っている人もいるくらいに、
一時期広く知れ渡った。
トラッカビリティと比較するとオルトフェイズは、それほどうまい造語とはいえない。
けれど、わざわざオルトフェイズという言葉をつくったということは、
オルトフォンとしては、3Ωという低インピーダンスのメリットの中で、
位相の正確さを重視していたと受け取ることもできる。
カートリッジのインピーダンスの低くとることのメリットは、なにもMC型カートリッジだけにいえることではなく、
MM型、MI型でも1980年代にはいり、
ピカリング、スタントンからローインピーダンス型のカートリッジが登場している。
スタントンは1980年に良質の低ロスのコア材に太めのワイアーを、
できるだけ巻数を少なくして、オルトフォンのMC型カートリッジと同じ3Ωという980LZSを、
1985年にもLZ9S(型番がローインピーダンスであることを謳っている)を発表している。
どちらも推奨負荷インピーダンスは100Ωとなっている。
ピカリングは1983年にXLZ7500Sを出している。
XLZ7500Sも、スタントンの980LZSとほぼ同じ技術内容を謳っているのは、
スタントンがピカリングのプロ用ブランドとして誕生しているわけだから、当然といえよう。