Date: 12月 23rd, 2012
Cate: 岩崎千明
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岩崎千明氏のこと(続・Electro-Voice Ariesのこと)

エレクトロボイスのエアリーズは、
外形寸法W69.9×H56.5×D41.3cm、重量29.5kgと、サイズ的にはブックシェルフ型に分類されるだろうが、
仕上げを見てもわかるようにエアリーズは床置きを前提としている。
その意味では、小型のフロアー型ともいえる。

エレクトロボイスは、エアリーズを”Console Speaker System”と呼んでいるし、
また”fine furniture design”とも謳っている。

オリジナルのカタログをみると、仕上げは3種類用意されている。
トラディショナル/チェリー、スパニッシュ/オーク、コンテンポラリー/ペカンであり、
岩崎先生が購入されたのはトラディショナル/チェリーである。

ユニット構成は、30cm(12インチ)のウーファー、約15cm(6インチ)のスコーカー、
約6cm(2.5インチ)のトゥイーターからなる3ウェイで、
岩崎先生はスイングジャーナルでの最初の紹介文に「ドーム型の中音、高音」と書かれているが、
写真を見るかぎりでは、コーン型と思われる。

価格は1971年当時で169000円(アメリカでは275ドル)。
安い、とはいえないものの、非常に高価なスピーカーシステムでもない。
エレクトロボイスには、もっと大型で、もっともっと高価なパトリシアン800があった。

パトリシアン・シリーズと比較すれば、エアリーズの影は薄い。
エアリーズは、日本にどれだけ入ってきたのだろうか。
エレクトロボイスのコンシューマー用スピーカーシステムをみかけることは、
JBLやアルテックと較べると、そうとうに少ない。
エアリーズを見かけたことはない。

日本ではそういうスピーカーという見方ができないわけではない。
しかも岩崎先生といえば、
JBLのD130、パラゴン、ハークネス、アルテックの620A、
エレクトロボイスにしてもパトリシアン、と大型スピーカーのイメージが強い。
エアリーズは、どこかサブ的な存在だったように、
ステレオサウンド 38号で岩崎先生のリスニングルームに置かれたエアリーズを見た時、
なんとなくそんなふうにとらえていた。

けれど暖炉のある部屋(パラゴンの置かれた部屋とは別の部屋)に置かれたエアリーズは、
部屋の雰囲気と見事に調和していた。
だから、よけいにサブ的な存在とも思ってしまったわけなのだが。

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