オーディオ機器を選ぶということ(聴かない、という選択・その6)
「欠陥」スピーカーとは、具体的にはどういうスピーカーのことになるのか。
たとえばアナログプレーヤーの場合、
33 1/3回転と45回転、この2つの回転数をどうやって実現できないプレーヤーがもしあったとしたら、
そのプレーヤーは欠陥プレーヤーということになる。
これは誰もが欠陥と判断する。
規定の回転数で再生されることが、まず大前提にあるからだ。
でもモーターが安定するに時間がかかり、
安定すればきちんと決められた回転数を維持できるプレーヤーならば、どうだろうか。
安定するのに1時間も2時間もかかるのであれば、それは欠陥といいたくもなるけれど、
10分ぐらいであれば、欠陥とまでは呼びにくい。
欠点ではあっても、欠陥ではない。そういうことになる。
またモーターのトルクが弱いプレーヤーもある。
以前の製品ではトーレンスのTD125がそうだった。
気の短い人だと、すこしいらっとするくらいターンテープルプラッターの立上りは遅い。
それにレコードクリーナーを強く押し当てると回転が止りそうになるくらい、
モーターのトルクは弱い。
けれど、このモーターのトルクのなさがTD125の音の良さに関係しているのであれば、
モーターのトルクの弱さは欠点であっても、欠陥とは呼べない。
使い手がTD125を気に入っていて、このくらいの欠点ならば使い方の工夫でどうにかすることにおいては、
欠点ではあっても、使い手はそれほど気にしないことになる。
欠点と欠陥は似ているようで、はっきりと違うものである。
ならばスピーカーの欠陥とは、どういうことなのか。
プレーヤーにおける規定の回転数を出せない、のと同じ意味での欠陥はあるのだろうか。