私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その19)
オルトフォンのカートリッジは、田舎でのシステムでMC20KKIIを使っていた。
SPUも聴いてみたかったし、手に入れてみたかったのだが、
そのころの私の使っていたプレーヤーシステムのトーンアームでは、32gの自重のSPUは無理があった。
MC20MKIIはいいカートリッジだったし、気に入っていた。
同じオルトフォンでもMCシリーズとSPUシリーズが違うことは知ってはいた、
そのSPUシリーズがSPU-Goldとなってリファインされたことが、
SPUへの関心をそうとうに大きくしてくれた。
EMTのTSD15も、オルトフォンのSPUをベースに開発されたカートリッジだと云われていたし、
伝統的な鉄芯入りのMC型カートリッジの両雄ともいえるSPUとTSD15。
なのにSPUに対して、手に入れるという行動にまでいたらなかったのは、
TD15にはEMTの930st、927Dst、トーレンスのリファレンスといった、
TSD15にとって最良といえる専用プレーヤーシステムが存在していたのに対し、
SPUには専用のトーンアームはあったけれど、
専用、もしくは最良のプレーヤーシステムがなかったことが大きく影響している。
いつのころからなのかは自分でもはっきりしないけれど、
カートリッジ、トーンアーム、ターンテーブルとの三位一体での音──、
だからこそプレーヤーシステムとして捉えていることに気がつく。
そんな私が、SX8000II + Series V + SPU-Goldの音を聴いたとき、
はじめてSPUを欲しい、自分の音として欲しい、と思ったことを、いまでも憶えている。
私にとってSPUを最良に鳴らしてくれるのはSX8000II + Series Vの組合せであり、
SX8000II + Series Vの組合せに最適のカートリッジはSPUであり、
ターンテーブルは日本のマイクロ、トーンアームのイギリスのSME、カートリッジはデンマークのオルトフォン、
国もブランドもばらばらなのに、SPUとっての三位一体のプレーヤーシステムがやっと登場してくれた──、
本気でそうおもえたし、いまもそうおもっている。