Date: 11月 23rd, 2012
Cate: Wilhelm Backhaus
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バックハウス「最後の演奏会」(その7)

練馬区役所での、五味先生が生前愛用されていたシステムでバックハウスの「最後の演奏会」を聴いてから、
当然自分のシステムでも聴いてみるわけである。

五味先生の愛用システムではLPで、自分のシステムではCDである。
出てきた音に、ある程度想像できていたこととはいえ、がっくりした。
バックハウスが、あのように鳴ってくれない。

音が悪い、ということではない。
バックハウスがバックハウスとして鳴っていない、ということころでがっくりしていた。
なにかが根本的に違う、なにか違うのだろうか……。
そのことをしばらく考え続けていた。

五味先生のシステムと私のシステムとでは、スピーカーシステムの大きさも形式も大きく異る。
アンプもトランジスター型だし、部屋の大きさも条件も異っている。
そういうことが影響しての音の違いではない。

そこをはっきりさせなければ、バックハウスの「最後の演奏会」が、
バックハウスの「最後の演奏会」にならない。それでは困る。

それは、結局言葉で表せば、骨格のしっかりした音かそうでないかの違いだと思う。

骨格のしっかりした音とは、バランスのとれた音とは違う。
ピラミッド状の音のバランスがとれているからといって、それが骨格のしっかりした音ではない。
また肉づきのよい音とも違う。

骨格のしっかりした音は、骨格のしっかりした音としか、ほかにいいようがない。
うまく説明できないことにもどかしさを感じているけれど、
これはもう想像していただくしかない。

とはいえ、私自身も、骨格のしっかりした音、という表現そのものをずいぶん忘れていたことを、
バックハウスの「最後の演奏会」を練馬区役所で聴き、自分のところで聴き、
その違いをはっきりと自覚することで思い出したぐらいである。

骨格のしっかりした音は、骨格のしっかりした音を聴くまで、
なかなか意識の上にのぼってこない性格のものかもしれない。

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