世代とオーディオ(その1)
あれは私が10代のころだったのか、それとももうすこしあとのことだったのか、
ジェネレーションギャップという言葉が、よく使われていた(耳にすることの多かった)時代があった。
あのころにくらべると、いまはジェネレーションギャップを使う人は、
すくなくとも私のまわりにはほとんどいなくなった。
だからといって、ジェネレーションギャップ(世代の違い)がなくなってしまったわけでもなかろう。
オーディオのことだけにおいても、こんなに価値観が違うのかと思うことがある。
Twitterやfacebookをみていると、私より一世代以上若い人たちが、
アナログプレーヤーについて書いているのを読んでいると、よくそう思うことが多い。
もう少し具体的に書くと、あるアナログプレーヤーがネットオークションに出品されている。
これらのアナログプレーヤーの大半は、私がステレオサウンドで働いていたときの現役の製品であって、
ほぼすべてといっていいくらいステレオサウンドの試聴室で実際にふれ、音を聴いている。
私の中には、それらがベースになって、そういったアナログプレーヤーに対する評価軸ができあがっている。
私より一世代若い人たちにとって、それらのアナログプレーヤーは、彼らがそれらの製品、
正確に書けば、それらの製品と同じような価格のオーディオ機器を購入できるようになったとき、
そういったアナログプレーヤーは現役の製品ではなくなっていた。
実物を見る機会も聴く機会も、ずっと少なかったはず。
彼らには彼らの評価軸がある。
その彼らの評価軸と私の評価軸は重なるところもあれば、そうでないところも当然ある。
私だったら、このアナログプレーヤーには、この値段は適正だなと思っていても、
彼らは、とても安い、いいモノを見つけた、という感覚なのだということを、
Twitter、facebookを通じて知る。
そんなときに、これが世代の違いなのかも、と思う。