Date: 10月 31st, 2012
Cate: 平面バッフル
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「言葉」にとらわれて(その10)

モノーラル時代の大型スピーカーシステムは、そのほとんどが低音に関してもホーン型になっている。
しかも折曲げホーン、つまり縮小ホーンを採用している。

ホーン型は理論通り、計算式通りにつくると、大きくなりすぎる。
部屋ごと家ごとの製作となってしまう。
少なくとも運搬できる、製品として市場に流通できるものではなくなるから、縮小ホーンの採用となる。

縮小ホーンの代表格は、Kホーンとも呼ばれることの多い、
ポール・クリプシュによる考案のクリプッシュホーンである。

クリプシュホーンも、その原型はウェスターン・エレクトリックのW型フォールデッドホーンにまで遡るわけだが、
クリプシュホーンは、フルサイズの低音ホーンを1/16にまでできる、と謳っていた。

低音域までホーン型にでき、そのうえ通常のホーンよりも小型化できる。
いくつものスピーカーメーカーが採用するのもわかる。
クリプシュホーンそのまま、というものもあれば、
各社なりにオリジナルのクリプシュホーンをアレンジしているものもある。
そのどちらにしても、クリプシュホーンを採用する以上、ウーファーはかくれて見えない。

JBLのハーツフィールド、ヴァイタヴォックスのCN191、
これらをオーディオをまったく知らない人が見て、スピーカーだとわかる人はいないように思う。
一般の人がイメージするスピーカーはコーン型ユニットであり、
クリプシュホーンを採用したシステムでは、
通常のスピーカーのようにサランネットを外せばユニットが見える、ということはなく、
ホーンの開口部からのぞき込んでもウーファーの姿を見ることはできない。

クリプシュホーンとは、そういうホーンである。
通常ホーンを、最大1/16まで縮小できるかわりに、ウーファーからの直接音を聴くことはできない。
ウーファーからの音は、折り曲げられたホーンを通って開口部から放射される。

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