Date: 10月 28th, 2012
Cate: 平面バッフル
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「言葉」にとらわれて(その8)

2002年、インターナショナルオーディオショウのタイムロードのブースにて、
ジャーマンフィジックスのThe Unicornを聴いて以来、
ジャーマンフィジックスのDDD型ユニットの音、The Unicornの音に惹かれるとともに、
ピストニックモーションに対する疑問が少しずつ大きくなってきている。

いま市場にあるスピーカー、
これまで登場してきたスピーカーのほぼすべてはピストニックモーションによって音を出している。
これまでは考えられてきた発音原理の多くもピストニックモーションの追求から生れてきている。

ピストニックモーションを完璧にすることがスピーカーの本当の理想像なのか、と思う。
完全なるピストニックモーションが実現できたとしたら、
その音に、音楽を聴いて何を感じるんだろう……とも思う。
正直、予測できない面もあり、もしかすると……と思う面もある。

でも、そういうことは完全なピストニックモーションが世に出てきたときに、
やっぱりそうだったのか、か、間違っていたな、とか、判断すればいいことと思いながらも、
DDD型ユニットのベンディングウェーヴという、非ピストニックモーションの発音原理のもつ可能性のほうに、
私の関心は、2003年からずっと、そこにある、といっていい。

現在のところ、低音域に関してはそれほど下まで再生はできないものの、
いちおうフルレンジ的に使えるスピーカーユニットとしては、
どちらもドイツ製の、DDD型ユニット、マンガーユニットがある。

ジャーマンフィジックスはDDD型のウーファーユニットを開発している、といっているものの、
いまだ登場しないところをみると、
実現は可能でも製品化が難しいのか、それとも実現困難なのか、はわからないが、
いまのところベンディングウェーヴで十分な低音域まで再生することは望めない。

そうなるとウーファーに関しては、現時点ではコーン型ユニット、
いいかえればピストニックモーション型のウーファーの助けを借りることになる。

ピストニックモーションのウーファーに、ベンディングウェーヴのフルレンジという組合せは、
竹に木を接ぐ的なところを感じなくもないが、実際にはこの手法しかないし、
それに菅野先生のリスニングルームでは、
竹に木を接ぐ的な面はいっさい感じさせない見事さが実現されていることを何度も耳にして体験しているだけに、
それほどウーファーの非ピストニックモーションにこだわることもない、とは思いつつも、
それでも非ピストニックモーションで、
ピストニックモーションのウーファーと同程度の低音再生ができないのか、とは考えてはいた。
それも無理すれば家庭におさまる範囲内で、である。

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