ショルティの「指環」(スコア・フィデリティ)
9月末に、ショルティ指揮のニーベルングの指環の限定盤がデッカから発売になった。
話題になっていたから、クラシックに関心の高い人ならばすでにご存知で入手されている方も少なくないだろう。
新たにリマスターされたCDの17枚組にDVD、30cm×30cmのブックレット、
それとは別の冊子などのほかに、この限定盤の最大の目玉(特典)といえるのが、
ブルーレイディスク1枚におさめられた24ビット・96kHzによる音源である。
CD17枚分、しかもサンプリング周波数もビット数も、
通常より高くそれだけデータ量を必要とするにもかかわらず、
ブルーレイディスクだと、1枚におさまってしまうことに、
記録密度の向上はめざましいものがあることは知ってはいても、
こういうふうに具体的な形で登場すると、
CD登場からちょうど30年の今年、その間のデジタル技術の進歩を、音とは違う面で実感できる。
DAD(Digital Audio Disc)がCDに統一されるまでは、
国内のオーディオメーカーからいくつもの規格が提案されていた。
ディスクのサイズもLPと同じ30cmで、収録時間も数時間というものがあった。
そんなに収録時間を長くして、いったいどんな音楽を入れるんだよ、という否定的な意見もあった。
たしかに、LPで流通していた音楽の大半は、それほど長い収録時間は必要としない。
クラシックの曲の大半だって、それほど長い収録時間はいらない。
けれど、オペラとなると、収録時間が長いディスクがあれば、
今回のショルティのブルーレイディスクのように1枚におさめられる。
こんなことを書くと、そんなにディスクの交換が面倒なのか、と思われそうだが、
ここでいいたいのはそんなことではない。
ディスクの枚数が減る、できれば1枚にまとめられれば、
そのことはスコア・フィデリティに関しては、高い、ということになる。
そのことをいいたいのである。