Date: 10月 23rd, 2012
Cate: 「ネットワーク」
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オーディオと「ネットワーク」(情報量・その4)

聴感上のS/N比をよくしていくことは、音楽の鳴っている場の空気を清浄していくようなものである。
澱んだ空気の中で音楽を聴きたい、とは私は思わないから、
聴感上のS/N比は高くしていきたい。

でも、たとえばジャズのライヴ。
いまでこそ禁煙のところが増えているから、
ジャズのライヴでも全面禁煙もしくは分煙というところが増えているのかもしれない。
とするとジャズのライヴにおいても、タバコの煙がもうもうとしている、
昔の、ずっと昔のジャズのライヴの、そういったイメージのところはもはやないのかもしれない。

現実にはなくなってしまったかもしれない、そういう場を、
オーディオは再現しようと思えば、再現できないことではない。
クラシックが演奏されるホールとは違い、天井の低い、人が集まりすぎて空気が澱んでいるうえに、
タバコの煙まで、だれも遠慮することなく吸っては吐き出している場の雰囲気は、
聴感上のS/N比は悪くすることで、近づけることはできる。

これは特殊な聴き方かもしれない。
でも、そういう時代のそういう場で演奏される音楽を聴きたい、のであれば、
そういう聴き方を否定はしない。

それは、あえてそういう選択をした結果の音として、誰も否定することはできないことだ。

このことと、聴感上のS/N比を悪くしていく手法をチューニングと称する、おかしなこととは、
まったく意味の違うことである。

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