オーディオにおけるジャーナリズム(編集者の存在とは・その8)
時代は変ってきている。
編集という仕事も変ってきている。
たとえば以前は罫線を、
どんな細い罫線であろうとキレイに引ければ、それだけでグラフィックデザイナーを名乗れた時代があった。
けれど、いまは罫線はコンピューターで指定すれば、どれだけ細い罫線でも、
誰にでも簡単に引けるようになってしまった。
だから罫線が引ける技術だけでは、デザイナーとは名乗れないし、それで食っていけるわけではなくなった。
こんな例は、他の業種でもいくつもあること。
出版の業界をみても、電子出版が主流となってくれば、
印刷、流通の会社の仕事は大幅に減り、なくなっていくことだろう。
コンピューターの導入で、すでにどれだけの写植の仕事がなくなってしまったことだろう。
写真に関しても同様である。
以前は撮影し、モノクロであれば紙焼きにしてもらっていた。
カラーであればポジフィルムだったわけだが、
デジタルカメラの登場と高性能化のおかげで、現像という仕事も減っているはず。
出版に関係している仕事が、私がいたころからは大きく変化してきたし、
これからも変化していく。
そういう状況の中にいて、編集者の仕事だけが変らない、ということはない。
変らなければならないし、変ってはいけないことも、編集という仕事にはある。
それは、編集という仕事が、出版という世界の中心もしくは中心に近いところにいてやる仕事であるからだ。