Digital Integration(その4)
能率の高いスピーカーといえば、
シーメンスやウェスターン・エレクトリックの劇場用スピーカーということになろう。
ウェスターン・エレクトリックのフィールド型のスピーカー群は、わすか数Wの出力のパワーアンプでも、
満員の劇場の観客全員を満足させるだけの音を出せる。
出力音圧レベルは、ゆうに100dB/W/mを超えていたであろう。
たしかに能率は、圧倒的に高い。
けれど、この高能率を実現するために消費する電力の大きさは、いったいどれだけになるのか。
フィールド型ユニットだけに、磁気回路に専用の電源を必要とし、
この電源の種類によって、ほんとうは変ってほしくないのだが、誰の耳にも明らかなぐらいに音は、ころころ変る。
記事にはならなかった(もともと記事にするつもりのない実験だったのだが)、
私がステレオサウンドにいた頃、タンガーバルブによる電源を使った音出しを、すでにおこなっていた。
このとき比較用に聴いたのは、トランジスターを使った、ごく一般的な定電圧電源であり、
タンガーバルブ電源使用時の音は、これだけの音がでるのであれば、
家庭用としては、あまりにも大きすぎる規模の電源だけれども、しかたない、というしかないのか。
それほど、同じ音圧なのに、浸透力がまるでちがう。