Date: 6月 7th, 2012
Cate: D130, JBL
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D130とアンプのこと(その12)

ステレオサウンド 53号の記事中には、
4331Aのウーファーについてオーバーダンピングぎみと書いてある。
けれど4331Aのウーファーは2231Aだから、
JBLのウーファーのラインナップのなかではオーバーダンピングぎみとはいえない。
JBLのウーファー、同口径のフルレンジユニットの中では、
D130は確かにオーバーダンピング型のコーン型ユニットである。

だから、この抵抗を挿入する実験は、むしろD130やアルテックの604や515のような、
誰がみてもオーバーダンピングぎみではなくて、
オーバーダンピングと断言できるユニットを使ってやってみるほうが、その効果は如実に出てくると推測できる。

1956年に登場したマランツのModel 2にはダンピングファクターコントロール機能がついている。
この機能を使わない状態でのModel 2のダンピングファクターは20だが、
それを5から1/2(0.5)の範囲で連続可変となっている。

ダンピングファクター20ということは、
8Ωのスピーカー(負荷)に対してはアンプの出力インピーダンスは0.4Ωであり、
この値をダンピングファクター5のときは1.6Ωにして1/2(0.5)のときは16Ωにまで変化させていることになる。
0.4Ωと16Ωとでは20倍違う。

出力インピーダンスを20倍も高くできる機能を搭載している理由は、Model 2の登場した年代にある。
この時代に生きてきたわけではないけれど、
どういうスピーカーが存在していたかはわかっている。
JBLのD130、130A、アルテックの604、515が全盛のときであり、
JBLのLE15が登場するのはもうすこし先1960年になってからである。

ダンピングファクターのコントロールは、オーバーダンピングのユニットに対して有効だったのだろう。
それは単にトーンコントロールで低音を増強するというのではなく、
スピーカーに対する制動そのものを変化させるわけだから。

つまりD130のようなオーバーダンピングのユニットが登場した理由のひとつには、
これらのユニットが生れた同時代のアンプのダンピングファクターは決して高い値ではなかったこと、
その裏付けでもある、と考えてもいいはずだ。

マランツはその後のModel 5、Model 8、Model 9にも、
やり方は変えているものの、抵抗挿入によってダンピングファクターをコントロールできるようにしている。

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