2008年ショウ雑感(その2・続続々補足)
マッキントッシュにとって新しいコンストラクションの採用が、
MC2301の正式な登場まで、1年近く必要だった理由のひとつではなかろうかと思う。
トランジスター化されて以降、フロントパネルの裏側に、電源トランス、オートフォーマーは配置されていた。
ステレオサウンドで働くようになって、はじめてMC2255を持ち上げたとき、
こんなにもフロントパネル側が重いのか、と、重量のアンバランスさに驚いたほどで、
ひとりで抱えるには、フロントパネルを自分のほうに向けて抱え込むようにしないと無理で、
もし逆さまに持ち上げてしまうと、ひっくり返しそうになる。
井上先生が、かなり以前から指摘されているように、電源トランスの配置によって、
アンプ全体の重量バランスは大きく左右され、
重量バランスのとれているアンプだと、音場感情報もよく出るとともに、音像の輪郭が自然な感じとなるのに対して、
重量的にアンバランスなアンプでは、音像の輪郭がエッジが張った感じになり、
そのおかげで聴き応えのある音になるとともに、音場感の情報量は、減衰傾向にある。
アンプの音は、重量バランスだけで決るのではないし、
マッキントッシュは、あえてこの重量のアンバランスさをうまく利用していたのではないかとも、思える。
MC2301のコンストラクションは、重量バランスの変化による音の変化とともに、
アンプの主要パーツの配置が従来とは大きく変ったために、とうぜん内部配線処理も変更を受ける。
アースの処理の仕方も変わったであろう。
それまでの伝統的なノウハウだけでは対処できない面も生まれてきたため、
新たなノウハウを得るための時間が必要だったのではなかろうか。