オリジナルとは(その21)
ステレオサウンドの43号に瀬川先生が書かれている。
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ずいぶん誤解されているらしいので愛用者のひとりとしてぜとひも弁護したいが、だいたいTSD15というのは、EMTのスタジオプレーヤー930または928stのパーツの一部、みたいな存在で、本当は、プレーヤー内蔵のヘッドアンプを通したライン送りの音になったものを評価すべきものなのだ。
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EMTのTSD15についての文章だ。
昔からTSD15の音は、EMTのプレーヤーで聴いてこそ、といったことがいわれている。
けれどEMTがSMEのトーンアームとの互換性をもたせた、
アダプターなしに一般的に使えるXSD15を出したためにXSD15は、
EMT以外のトーンアームに取り付けられ、その昇圧手段もEMT以外のトランスやヘッドアンプ、
それにフォノイコライザーに関してもさまざまなモノと組み合わされていった。
そうやって聴いたTSD15の音は、果して「オリジナル」といえるのだろうか。
カートリッジ・メーカーはいくつものメーカーが存在してきた。
モノーラルLP時代から数えても、いくつあるのだろうか。
早々と消えてしまったメーカーも多い。
多いけれど、カートリッジだけでなくトーンアームやターンテーブル、
さらにはフォノイコライザーまでつくってきたメーカーとなると、数は少ない。
古くはフェアチャイルドがある。そしてEMTがある。あとはノイマン、他には何があるだろうか……。
オルトフォンは古くからカートリッジを製造してきたものの、
専用トーンアームはあってもターンテーブルはない。
昇圧トランス、ヘッドアンプはあってもフォノイコライザーはない。