オリジナルとは(その19)
プリメインアンプ、コントロールアンプ側にテープ再生のイコライザーがあった時代には、
このテープデッキ(再生ヘッド)には、このコントロールアンプ(もしくはプリメインアンプ)を組み合わせる、
ということが行われていたと思う。
アナログディスク再生のカートリッジとフォノイコライザーアンプとの相性のように、
再生ヘッドとテープ再生用アンプとの相性があって、
そのことがオーディオ雑誌の記事にもなり、マニアのあいだでの話題にもなったであろう。
けれどテープ再生用アンプは、コントロールアンプ(プリメインアンプ)側から、
テープデッキ側に統合されていった。
いまでは想像しにくいことだが、
ずっと昔は秋葉原のパーツ店でヘッドが売られていた、ときいたことがある。
モトローラのヘッドが評判が良かったそうだ。
もし再生用アンプがずっとコントロールアンプ(プリメインアンプ)側にあったままだとしたら、
そしてテープ用のヘッド単体がパーツ店やオーディオ店で、カートリッジのように売られていたとしたら、
テープ関連のアクセサリーの数も、すこしは増えたのかもしれない。
でも、そうはならなかったのは、テープデッキは解体(細分化)の方向ではなく、統合へと向ったからである。
アナログプレーヤーとテープデッキは、こういうふうに違う道に分かれてしまった。
これはテープデッキが再生だけの器械ではなく、録音・再生機器という性質が大きく関係してのことだが、
同時にテープデッキの世界では、
他のオーディオ機器よりもプロフェッショナル用のモノが比率として多く存在する。
このことも、テープデッキが解体(細分化)に向わなかった大きな理由ではないだろうか。
たとえばアナログプレーヤーでも、プロフェッショナル機器としてEMTが日本では有名な存在である。
EMTのアナログプレーヤーは、930stも927Dstも928も、
ダイレクトドライヴ式になってからの950や948など、すべてイコライザーアンプを搭載しており、
ラインレベル出力となっていることは、改めて言うまでもないだろう。