私にとってアナログディスク再生とは(RIAAカーヴについて・その3)
ウェストレックスの3DIIA、ノイマンのSX74の周波数特性は、
誠文堂新光社から1976年に無線と実験、初歩のラジオ別冊として出された
「プレーヤー・システムとその活きた使い方」に載っている。
この本は日本ビクターの音響技術研究所所長の井上敏也氏による監修で、執筆者は34名。
おそらく大半の人が日本ビクターの方々だろう。
この「プレーヤー・システムとその活きた使い方」には、SX74、3DIIAのほかに、
オルトフォンのDSS731の周波数特性も載っている。
DDD731はCD4用に開発されたカッターヘッドで、
その構造もSX74、3DIIAとは大きく異る。
SX74、3DIIAは、左右チャンネルのドライブ用コイル、フィードバック用コイル(ムービング・エレメント)が、
それぞれ45度の角度を保つように配置されている構造なのに対して、
DSS731ではジャイロ方式と呼ばれる構造をとっている。
DSS731でもムービングエレメントそのものの構造はSX74、3DIIAと基本的には同じでも、その配置が異っている。
ロッキング・ブリッジと呼ばれるものの上に、垂直に左右チャンネルのムービングエレメントは取付けられていて、
ロッキング・ブリッジの下側中央にカッター針があり、
このカッター針とムービングエレメントと
ロッキング・ブリッジとの結合部(フレキシブル・ジョイント)の位置関係は直角二等辺三角形となっている。
この構造のためなのかどうかはわからないが、DSS731の裸の周波数特性は共振のピークは2.5kHzあたりにあり、
これより上の周波数は減衰していくだけだが、
これより下の周波数においては、500Hzから30Hzあたりまではフラットとなっている。
MFBを13dBかけた状態での周波数特性はグラフをみるかぎり、20Hz以下までフラットを維持している。
DSS731ならば、録音RIAAカーヴを電気的な処理だけですむことになる。