私にとってアナログディスク再生とは(RIAAカーヴについて・その2)
ウェストレックスの3DIIAのMFBをかけたあとの周波数特性は、
ノイマンのSX74の特性よりも全体的にゆるやかなカーヴを描いていて、いわゆるカマボコ型の特性。
フラットな帯域のところはどこにもない。
けれど実際のカッティング特性はSX74とほぼ同等の性能といえる。
レコード(LP)にはRIAAカーヴがある。
1953年6月に制定された規格で、カッティング時にはRIAA録音カーヴ、
再生時には録音RIAAカーヴと逆特性のRIAA再生カーヴがもちいられる。
RIAAカーヴは1kHzを規準として700Hzで-1.2dB、400Hzで-3.8dB、300Hzで-5.5dB、200Hzで-8.2dB、
100Hzで-13.1dB、70Hzで-15.3dB、50Hzで-17.0dB、30Hzで-18.6dB、
高域はというと、2kHzで2.6dB、3kHzで4.8dB、4kHzで6.6dB、5kHzで8.2dB、6kHzで9.6dB、7kHzで10.9dB、
8kHzで11.9dB、9kHzで12.9dB、10kHzで13.8dB、12kHzで15.3dB、15kHzで17.2dBとなっている。
ほぼオクターヴあたり6dBで高域に向って上昇していくカーヴに近い。
つまり低域に関しては、カッターヘッドに入力される信号を減衰させているわけだ。
だから低域に関しては、電気的な処理による減衰量を、カッターヘッドの低域の特性を補整するようにしておけば、
なんら問題は生じないことになる。
つまり、このことは録音側(レコード制作側)では低域に関しては、
録音RIAAカーヴをカッターヘッドの機械的な特性とカッターヘッドをドライブするアンプの前段での電気的な処理、
このふたつを組み合わせて正確なものとしているわけだ。
一方再生側はというと、可聴帯域内の周波数特性はほぼフラットであり、
カッターヘッドの周波数特性よりも劣っているカートリッジは、
よっぽどのローコストの製品には存在するかもしれないが、まずそういうカートリッジは存在しない。
20Hzまではほとんどのカートリッジがフラットな周波数特性をもっている。
つまり再生側では、再生RIAAカーヴはフォノイコライザーアンプの電気的な処理だけで行っているわけである。