Date: 6月 28th, 2009
Cate: 黒田恭一
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バーンスタインのベートーヴェン全集(その7)

一方、バーンスタインのベートーヴェン全集だが、ライヴ録音だから、といって、
1テークのみの録音ということではなく、
すべて曲が2回ないしは3回コンサートで演奏され、録音されているなかで、最終的な編集が行なわれている。
さらにコンサートの直後に、聴衆がまだいる状況での追加録音も行なっているとのことだから、
一発勝負、ぶっつけ本番こそライヴレコーディングだと言われる方からすれば、
バーンスタインのそれは純粋なライヴ録音ではないということになるだろう。

それでも聴衆が同じ空間、同じ時間にいるということで、バーンスタインの演奏がかわってくると、
ドイツ・グラモフォンのA&Rのチーフ(つまり制作部門の最高責任者)のギャンター・ブレーストが、
黒田先生のインタビューに答えている。
     *
(バーンスタインと契約をかわしたときに)──CBSに録音したレコードを聴き直してみたときに、そこには、私が称賛するバーンスタインがいない。これらのレコードを聴くと、そこにはバーンスタインの音楽が持っているあの非常にエキサイティングな要素が失われている。(中略)そういったことがあって、バーンスタインという人の持っている非常にエキサイティングなものを出すためには、どうしても聴衆が必要だ──それにはライヴの方がいいという判断があって、私たちA&Rが彼に、ぜひライヴ・レコーディングするよう頼んだわけです。(中略)
 録音の基本は、実際の演奏会で行なわれたもの、何千人という聴衆の非常に熱いエキサイティングな雰囲気を背景に行なわれた実際の演奏会の録音で、それにいくつかの部分を別録音したもので補う、というやり方をしているのです。こういうやり方をすることよって、バーンスタインの特質、創造の秘密ともいうべき感情の昂揚をテープに記録するごとができたと思います。(ポリドール・季刊GRC 46号)

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