Date: 12月 20th, 2011
Cate: 朦朧体
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ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その52)

思ってもどうにもならないことだけど、10年早く生れていたら、と思うことがないわけではない。
10年早く生れていていたら、1976年の10年前、1966年ごろからオーディオに興味をもっていたら、
トランジスターアンプの進歩を実際に音で体験していけたであろうし、
4チャンネル再生も同時代で体験できたはずだ。

1976年にはマークレビンソンもすでに登場していたし、SAEもAGIもGASなど、
真空管アンプ時代からソリッドステートアンプへ移行してきたマッキントッシュやマランツとは違う、
最初からソリッドステートアンプで名を挙げてきたメーカーが、すでに存在していた。

瀬川先生がJBLのSA600をはじめて聴かれたときの昂奮、
そしてマークレビンソンのLNP2をはじめて聴かれたときの驚きと、早く聴かなかったことの後悔、
こういったものは蓄音器の時代から、モノーラルからステレオの時代、
真空管アンプからソリッドステートアンプの時代、
そのソリッドステートアンプにしても初期のアンプと1970年代後半以降のアンプとの違い……、
そういったことを自分の耳で同時代に体験してきたからこそのものであり、
私が初めてLNP2を聴いたときの昂奮とは、まったく違うものであり、
こればかりは早く生れて早くから体験してきた人には(たとえ才能やセンスが同等であっても)かなわない。

マークレビンソン、SAE、AGI、スレッショルド、GASなどは、
いわば新しいソリッドステートアンプ(トランジスターアンプ)といえるし、
ステレオサウンドにも、この時代、そういうふうに紹介されていた。

とはいえ、この新しいトランジスターアンプの中でも、
ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES 3でのトゥイーターの試聴におけるJBLの2405とピラミッドのT1に、
それぞれあてはまるのが、2405にはマークレビンソン、ピラミッドT1にはGASである。

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