2011年ショウ雑感(その6)
ステレオサウンド 47号が出たとき、五味先生のオーディオ巡礼がカラーページに載っていた。
これは、うれしかった。
47号の約2年前に「五味オーディオ教室」を読みオーディオの世界にはいってきた。
それだけ五味先生の影響は大きくて、その五味先生の新しい文章が読める、ということでうれしかった。
しかも登場されている方は、南口重治氏。
そこに五味先生のこんな文章がある。
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マランツ7は私の知るかぎり、現在でも最高のプリアンプである。マランツをマークレビンソンにかえねば出せないような音など、レコードに刻まれてはいない。SN比、ボリューム操作に円滑さを欠く二点を除いては、7をLNPに変えて音が良くなるなら、それは、パワーアンプ以下のどこかで不備な点があるからだと私は思っている。それほど、レコードの特性ではなく音楽を再生する上でマランツ7はもう十分すぎるプリアンプだ。
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ステレオサウンド 47号は1978年6月に出ている。
私はまだ15歳だった。
いくら「五味オーディオ教室」からオーディオに入ってきたとはいうものの、
このことに関しては、すなおに首肯けなかった。
「五味オーディオ教室」を読んだ時からの約2年間の間に、瀬川先生の文章も読んできた。
このときはまだLNP2の音を聴いたことはなかったし、マランツModel7の音も、もちろん聴いていなかった。
とはいうものの、LNP2がどういうコントロールアンプで、どういう衝撃を登場した時にオーディオ界に与えたかは、
瀬川先生の、何度もくり返し読んだ文章で知っていた。
五味先生もマランツModel7よりもマークレビンソンLNP2のほうがS/N比は優れている、と認められている。
すくなくともS/N比が優れていれば、Model7では聴こえない、とは言わないまでも聴こえ難い微妙な音は、
LNP2ならば聴き取りやすくはなっているはず。
それによく音が良くなった時の表現として、「レコードにはこんな音まで入っていたのか」というのがある。
だから、いくらなんでもそんなことはないだろう……、と15の私は、五味先生のいわれることを信じながらも、
そんなふうにも思っていた。
けれど、これは、47号が出るまでに何度も読んできた「五味オーディオ教室」に書かれている、
あることへと関連しているのに、すぐには気がつかなかった。