Date: 11月 14th, 2011
Cate: ショウ雑感
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2011年ショウ雑感(その5)

S/N比が高い、ということは、それが物理的であれ聴感上であれ、
音楽のピアニッシモ、音楽の間における静寂感に秀でている、ということである。
音楽が消えてゆくとき、どこまでもどこまでも、
その消えてゆく音を耳で追いかけていけそうな気にさせてくれる。

このとき、消えてゆく音が、
心の奥底に、心のひだにしみこんでくるように音を聴かせてくれるオーディオ機器がある。
そうでないオーディオ機器もある。
どこまでこまかい音を聴かせながらも、それがこちらの心にまでしみこんでこない場合(機器)がある。

このふたつの違いは、もう物理的な、聴感上のS/N比とはすこし違うところに起因することだと思う。
これを、聴感上のS/N比よりも、さらに心理的なS/N比、とでもいおうか、
それとも心情的なS/N比とでもいおうか、とにかく、聴感上のS/N比という言葉が表すものよりも、
ずっとずっとパーソナルなところでのS/N比の良さ(ここまでくると高低ではないはずだ)、
そういった次元のものが存在しているように思えてくるし、そう思わせてくれるオーディオ機器がある。

そういうオーディオ機器は、昔からあった。
数は少ない。しかもそれは私がそう感じるオーディオ機器が、ほかの人もそう感じるのかはなんともいえないし、
そう感じてきたオーディオ機器が、必ずしも聴感上のS/N比において、
現在の優れたオーディオ機器よりも優れているわけではない。
にもかかわらず、現在の聴感上のS/N比の高いオーディオ機器よりも、
ずっと心理的・心情的なS/N比の良さをもつオーディオ機器が存在してきている。

すこし具体例をあげれば、スピーカーシステムでは、
イギリスのそれもBBCモニター系列のモノがすぐに頭に浮かぶ。
スペンドールのBCII、ロジャースのLS3/5A、PM510、KEFのModel 104などである。

このことがどういったことに関係しているのか、正直、いまのところはよくわからないところがまだまだある。
それでも、聴感上のS/N比ではなく、心理的・心情的、さらに情緒的とでもいったらいいのだろうか、
まだまだどういう表現をするのか決めかねているような段階ではあるけれど、
そういうS/N比の良さは、私にとってオーディオ機器を選択するうえで重要なことである。

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