Date: 9月 29th, 2011
Cate: 純度
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オーディオマニアとしての「純度」(その7)

マークレビンソンのML7の4枚のモジュールは、
フォノイコライザーのL、Rチャンネル、ラインアンプのL、Rチャンネルというぐあいに並んでいる。
だから、そのままモノーラル仕様にすればフォノイコライザーとラインアンプを1枚ずつ抜くことわけで、
そうすれば内部はフォノイコライザー、空きスペース、ラインアンプ、空きスペースとなる。
それをML6Aでは中央に空きスペースを集めて、電解コンデンサーの収納スペースに当てている。

シルバーパネルのML6が、いわば実験機のまま製品化したようなところを残しているとすれば、
ML6Aにはそういったところはなく、それは技術者の良心の顕れのようにも感じとれなくもない。
使い勝手の悪さはML6もML6Aも同じだけれども。

だから、私はML6Aの内部コンストラクションはトム・コランジェロによるものだと思っているわけだ。

それにこのころのマーク・レヴィンソンは、瀬川先生も書かれているように、
会社設立当初の、純粋に音を追求する若者から「やや練達の経営者の才能」をあらわしはじめている。
そのすこし前に、五味先生は、
読売新聞の連載に「マークレビンソン商法にがっかり」と題された文章を書かれている。
そこに、こう書いてあった。
     *
心外だったのは、マークレビンソンのアンプや、デバイダー(ネットワーク)を置いてないどころか、買いたいが取り寄せてもらえるか、といったら、日本人旅行者には売れない、と店主(注:サンフランシスコのオーディオ店店主)の答えたことである。なんでも、マークレビンソン社から通達があって、アンプの需要が日本で圧倒的に多いので、製品が間に合わない。米国内の需要にすら応じかねる有様だから、小売店から注文があってもいつ発送できるか、予定がたたぬくらいなので、国内(アメリカ人)の需要を優先させる意味からも日本人旅行者には売らないようにしてくれ、そういってきている、というのである。旅行者に安く買われたのではたまらない、そんな意図もあるのかと思うが、聞いて腹が立ってきた。いやらしい商売をするものだ。マークレビンソンという男、もう少し純粋なオーディオ技術者かと考えていたが、右の店主の言葉が本当なら、オーディオ道も地に墜ちたといわねばならない。少なくとも以後、二度とマークレビンソンのアンプを褒めることを私はしないつもりだ。
     *
これについてはマーク・レヴィンソンにはマーク・レヴィンソンの言い分がある、と思うし、
五味先生もすこし感情的かも、と思わないでもないが、
1980年のすこし前あたりから、
マーク・レヴィンソンに経営者としての側面が色濃くあらわれてきていたことは確かなことだろう。

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