Date: 4月 29th, 2009
Cate: 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと
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瀬川冬樹氏のこと(その47)

瀬川先生の音の好みについて、どうしても確かめておきたいことがあった。
低音に関して、である。

低音に関しては、それが下品にならなければ、洗練されているのであれば、
ふくらんでも良しとされる、というよりも、どちらかというと、量感豊かでふくらむのも、
もしかしたら好まれているのではないか、と思ってきた。

愛用されてきたEMTの930st、SAEのMark2500だけでなく、
瀬川先生が好まれるオーディオ機器のなかには、スリムという一言では片付けられないモノがいくつもある。

だから、ずっと低音のふくらみについて発言されていないのか、さがしていた。

1972年暮に、音楽之友社から出た「ステレオのすべて ’73」で、
瀬川先生と菅野先生、それに長岡鉄男氏の鼎談が載っている。
そこで「ふくらみ方が、低音のうんと低いところでふくらむのはかまわない。
中域でふくらむのはいやなんだ」と語られている。

この発言のすこし前には、さらに
「いい方によってはふくらむというような鳴り方、あれはむしろぼくにとっては非常に快い」とまで言われている。

やっと見つけた、と思っている。
同時に、灯台下暗しだった、とも思っている。

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