私にとってアナログディスク再生とは(その38)
12インチ・シングルでは、クラシックのディスクは出ない(まったく、というわけではないけれども)。
少なくとも私にとっては、12インチ・シングル = ケイト・ブッシュであり、
ロック・ポップスを堪能するためのメディアということである。
だから当時妄想していたのは、アナログプレーヤーを2台用意することだった。
1台はクラシックのディスクをうまく鳴らすために(つまり33 1/3回転用)、
もう1台は12インチ・シングル専用(45回転用)で、
プレーヤーについている回転数切替えを使うのではなく、
かけるディスクにおさめられている音楽の性格、傾向、鳴らし方がまるっきり違うのだから、
いっそのことそれぞれにうまくピントをあわせたプレーヤーを用意した方がいいのではないか、
そう考えて、リンのLP12を2台使いについて、妄想していたわけだ。
LP12は33 1/3回転専用のシングルスピード仕様だが、
モーターのプーリーを変えることで45回転のシングルスピード仕様にすることができた。
それぞれのLP12には、それぞれの目的(ディスク)に応じたカートリッジとトーンアームを組み合わせる。
33 1/3回転専用には、トーンアームはSMEの3009RかオーディオクラフトのAC3000MC。
ただオーディオクラフトにすると、ダストカバーが閉まらなくなる。
45回転専用には、12インチ・シングルの音楽によりぴったりとくるカートリッジを使いたい、
そうなるとEMTやエラック、オルトフォンといったヨーロッパ系のカートリッジではなく、
エンパイア、ピカリング、スタントンなどのアメリカのカートリッジをもってきたい。
これらは比較的軽針圧のものだから、トーンアームはSMEでも3009Rではなく、3009/SeriesIIIでまとめたい。
さらに贅沢が許されれば、それぞれにフォノイコライザーアンプも選びたくなる。
12インチ・シングルを楽しむためにできることは何があるのか。
こんなことをあれこれ妄想させるだけの「何か」が、
ケイト・ブッシュの12インチ・シングルから感じとれていたわけだ。