妄想組合せの楽しみ(その44・余談)
タンノイのスピーカーシステムでフロントショートホーンがつくものは、わずかだ。
バックロードホーンを採用しているものは、いくつもある。
バックロードホーンの設計は難しい、と以前からいわれてきている。
設計だけではなく、うまく鳴らすことも難しい、ともいわれて続けている。
オーディオにも流行はあって、
バックロードホーンのスピーカーシステムがいくつかのメーカーから発売されたこともあった。
その多くは、ごく短い期間だけの発売でしかなかった。
バックロードホーンのスピーカーシステムをつくり続けているメーカーは、
じつはタンノイだけ、といってもいいだろう。
オートグラフはフロントショートホーンとバックロードホーンの複合型、
これ以降GRFもバックロードホーン、1954年に設立されたアメリカ・タンノイのラインナップにも、
オートグラフとGRFは存在し、やはりバックロードホーン型となっている。
アメリカ・タンノイのオートグラフとGRFはイギリス本家のそれらとは外観も異り、
アメリカ・タンノイのオートグラフには2つの仕上げがあり、フロントショートホーンは省かれている。
1986年、創立60周年記念モデルとして登場したRHRもバックロードホーン。
いまも1982年に登場したウェストミンスターが現役モデルとして存在しており、
つねにタンノイのスピーカーシステムのラインナップにはバックロードホーンがあった、といえる。
これだけ長くバックロードホーンのエンクロージュアをつくり続けているメーカーはタンノイは、
同軸型ユニットをつくり続けていることとともに、そこにタンノイ独自のポリシーともいえるし、
ある種の頑固さともいえるものを感じとれる気もする。
それにして、なぜバックロードホーンはうまく鳴らすのが難しいのだろうか。
エンクロージュアの構造に起因する問題点は確かに存在するものの、理由はそれだけはないようも感じている。