妄想組合せの楽しみ(その43)
パラゴンの組合せに関することをまとめて書いてしまったのは、
早くタンノイの組合せについて書きたかった、ということがある。
タンノイ、といえば、私にとっては、オートグラフである。
これは何度も書いているように、五味先生の書かれたものに影響されてのことであり、
つまり私にとっては、五味先生のオートグラフの音こそが、「タンノイの音」ということになるわけだ。
もちろん五味先生のオートグラフを聴いたことがあるわけではない。
ひたすら書かれたものを読んで,私の中であるかたちになってきたものが、タンノイの音ということになる。
だから、これまで多くのタンノイのスピーカーシステムを聴いてきても、
それは、私にとっては、私の中で、あるかたちになっているタンノイの音ではなかった。
タンノイのスピーカーシステムの新製品が出るたびに期待し、やはり違う、ということになる。
オートグラフ以外のタンノイの音が悪い、ということではもちろんない。
ただ、あくまでも私の中にある五味先生のオートグラフの音とは違うし、
そこに通じる何かを感じとることができなかった、というだけ話である。
そういうこともあって、タンノイのスピーカーに関しては、
むしろロックウッドのスピーカーシステムに対しての関心が強くあり、
この項の番外として、ロックウッドの組合せについて書いているぐらいである。
とはいうもの、これまで聴いてきたタンノイの音に、
ハッとさせられたモノがいくつかある。
五味先生がオートグラフに求められていたのは、
こういうことなのかもしれない、と確かな何かを感じさせてくれたのは、
ウェストミンスターであり、ステレオサウンドの記事によってつくられたコーネッタである。
どちらもフロントショートホーンをもつ。
オートグラフにもついている。
オートグラフにあってGRFにないもの、
そして実際に音を聴いてもオートグラフとGRFは別物と私の耳には聴こえてしまう、
その理由はフロントショートホーンだということになる。