40万の法則が導くスピーカーの在り方(その12)
100Hzから4kHzまでをひとつのスピーカーユニットで受持たせ、
100Hzから下、4kHzから上をそれぞれユニットを追加して、
3ウェイとしてまとめることが結局いままで無理だったのは、
ピストニックモーションのスピーカーユニットばかりだったから、ともいえる。
ピストニックモーションを間違っている、といいたいのではなくて、
ピストニックモーションだけが正解ではない、といいたい。も
もうひとつの正解としてベンディングウェーヴがあり、ここ10年ほどで、
1930年にはすでに製品化されていたベンディングウェーヴが、ようやく市民権を得てきた、ともいえる。
まだまだベンディングウェーヴのユニットの数は、ピストニックモーションのユニットくらべると、
圧倒的に少ない。トゥイーターの数は増えつつあるが、フルレンジとして使えるものとなると、
しかもユニットが単売されているものとなると、マンガーのBWTとジャーマン・フィジックスのDDD型だけだろう。
100Hzから4kHzまで受持たせるのであれば、BWTもDDD型ユニット、どちらも使える。
選択肢は2つあるわけだが、ここではBWTをとる。
DDD型は、私の中では、これをフルレンジとして使ったUnicornの印象と分かちがたく結びついているためであり、
DDD型を使うのであれば、Unicornにしたい、という気持があるのと、
DDD型では、4kHz以上においても、これだけでほぼ問題なくいける。
そう、私はあえて3ウェイにしようとしている。
くり返し書いているように、2つの40万の法則によるスピーカーシステムをつくって、その音を聴いてみたいからだ。
本末転倒といえば本末転倒な考え方だが、BWTは振幅特性こそかなり上の帯域まで延びているが、
おそらく指向特性は4kHzあたりからなだらかに落ちはじめているのではないかと思っていた。
ピストニックモーションではないから、指向特性の劣化しはじめる周波数は違うだろうが、
可聴帯域まで指向特性がフラットになるとは到底思えないからだ。
この点、DDD型は水平方向に関しては、真の無指向性だから、4kHz以上まで問題なくいける。
ただし、別の問題がDDD型にはあるけれども。
とにかくBWTの指向特性は、おそらく4kHzあたりだとにらんでいたが、事実、
マンガーのサイトにある周波数特性のグラフをみると、
このあたりから指向特性に関しては落ちていっているのが確認できる。
別項の「ワイドレンジ考」で述べているように、
周波数特性(振幅特性と位相特性)と指向特性をできるかぎり広帯域において平坦にしていきたい、
それがワイドレンジだと考えているから、BWTの使用は4kHzどまりとする。