Date: 7月 17th, 2011
Cate: D44000 Paragon, JBL, 組合せ
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妄想組合せの楽しみ(その40)

グラシェラ・スサーナの歌は、よく聴く。
タンゴ、フォルクローレもいいけれど、グラシェラ・スサーナによる日本語の歌に惹かれるものが、
はじめてグラシェラ・スサーナの歌を聴いた、中学2年のときから、ある。

グラシェラ・スサーナの歌には、夜の匂いがある。
グラシェラ・スサーナによって歌われるのは、夜の物語が多い。
彼女の声質も関係してのこともあって、夜の質感を描き出している。
「別れの朝」も、歌われているのは朝の情景だが、夜のとばりがまだそこにある「夜の歌」だ。
グラシェラ・スサーナのしめりけをおびた声で表現されるとき、そのことを意識せざるをえない。

グラシェラ・スサーナの歌を収めたLPなりCDに、夜の匂いが刻まれているわけではないのに、
最初にグラシェラ・スサーナの歌を聴いた時にも、いま聴いても、
夜の匂い、としか表現しようのないものを嗅ぎとってしまう。

この夜の匂いをまったく感じさせないもの、かろうじてそれらしきものを感じさせるもの、
色濃く感じさせるものが、大まかにいってスピーカーシステムにある。
少数なのは、まったく感じさせないものと、色濃く感じさせるものである。

夜の匂いなんてものは、実のところ、どこにも存在していないのかもしれない。
グラシェラ・スサーナの声が十全に再現されたからといって、夜の匂いがそこにあるとは限らない。
それでも、はじめてグラシェラ・スサーナの歌を貧弱な装置で聴いた時も、
そしていまも感じられるときがあるということは、
やはりどこかに存在しているということになるのだろうか。
オーディオの再生系のどこかで生み出されたもの、とはどうしても思えない。

スピーカーシステムの中には、とにかくごく少数ながら、
グラシェラ・スサーナの歌に夜の匂いを喚起させる何かをもつモノがあって、
それらを私は、インプレッショニズムの性格をもつスピーカーと受けとめている。

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