Date: 6月 25th, 2011
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(その7)

1988年の取材で、リンのLP12を聴く機会があった。
ヨーロッパ製の、どちらかといえばコンパクトにまとめられたフローティング型プレーヤーを4機種集めての試聴で、
ステレオサウンド 90号に掲載されている(実は88号掲載予定だったが、ページがとれなくなり延びてしまった)。

試聴が終った後に、井上先生がつぶやかれた。
「LP12のベルトははずしてみな」と。
何をされるのか予測できなかった。
ベルトを外したLP12のターンテーブルの上にLPを乗せ、指で廻し始められた。
しばらく眺めたのちに「針を降ろせ」という指示が出た。

この時、スピーカーから出てきた音は、
LP12にヴァルハラを取り付けたときの音を思いださせてくれた。

再生中には手を下さないから、回転はしばらくすれば遅くなり止る。
33 1/3回転を維持しているわずかな時間しか、この良質な音は聴けない。
でも、このわずかな時間の音は、貴重だ。

すべてのプレーヤーで同じような結果が得られるわけではない。
ターンテーブル・プラッターの加工精度、ダイナミックバランスが優れていて、
軸受けの構造も優れたもので、スムーズな回転を実現しているモノでなければ、この時の音は聴けない。

この時の音を聴いて、思い出した音がある。
マイクロのSX8000IIのベルトのテンションを調整していたときの音だ。

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