真空管アンプの存在(その29)
High-TechnicシリーズのVol.2をくり返し読んでいた私は、
真空管でヘッドアンプをつくるならば、ノーロイズの真空管の選定のほかに、
2本、3本……と並列接続するんだろうな、と漠然と考えていた。
それに機械的な電極をもつ真空管だから、振動によるマイクロフォニックノイズ対策はしっかりと必要になるし、
ヒーターの電源にも、十分な注意が必要になる。
それにすこしでもノイズレベルを下げるために、誘導ノイズの原因となる電源トランスは外付けにして……、
そんなこと考えているだけで、この頃は楽しかった。
こんなこともあって、ステレオサウンドで働きはじめたばかりのころ、
いきなり聴く機会にめぐまれたカウンターポイントのSA2への期待は、
試聴が始まるまでの、わずか数時間のうちにみるみる高まっていった。
山中先生の試聴だった。
真空管でヘッドアンプは無茶な試みなのか……。
そう感じてしまった。