真空管アンプの存在(その27)
ステレオサウンド別冊として刊行されていたHigh-TechnicシリーズのVol.2は、
長島先生が一冊すべてを書き挙げられたMCカートリッジの本だ。
すこし脱線するが、世界のMC型のいろいろと題して、
当時発売されていたMCカートリッジの内部構造図が、21機種分掲載されている。
ダンパーの形状、マグネットの形状や大きさ、コイルの巻き方、引き出し線がどこから出ているかなど、
個々のカートリッジの詳細がわかる、
ひじょうに充実した内容で、ここだけでも、この本は価値は十二分にあるといえるものだ。
この内部構造図を、実際にカートリッジを分解して、わかりやすいイラストを描かれたのは、
目次のイラストのところに名前がある、神戸明(かんべ・あきら)さんだ。
瀬川先生のデザインのお弟子さんだった方だ。
長島先生による「すぐれたMC型カートリッジの性能をひきだすための七章」、
第一章:MC型カートリッジからみたヘッドシェルについて
第二章:MC型カートリッジとトーンアームの相性
第三章:MC型カートリッジとヘッドアンプおよびステップアップ・トランス
第四章:プレーヤーシステムはMC型カートリッジにどんな影響をおよぼすか
第五章:MC型カートリッジからみた望ましいプリアンプとは
第六章:MC型カートリッジからみた望ましいパワーアンプとは
第七章:すぐれたMC型カートリッジの性能を十全に発揮させるためのスピーカーシステムとは
この記事も、オーディオの勉強に役立った。
オーディオに興味をもちはじめて2年目、15歳の時に、この本を読んだ。
中途半端な技術書を、この時期に読んでいなくてよかった、といまでも思う。
私にとって、この本は、絶妙のタイミングで現われてくれた。幸運だった。
第三章:MC型カートリッジとヘッドアンプおよびステップアップ・トランスで、
ジョン・カールが考案したローノイズの手法を紹介されている。