Date: 5月 31st, 2011
Cate: ワイドレンジ
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ワイドレンジ考(その66)

アルテックが6041の開発にどれだけの時間をかけたのかはわからない。
でもそれまでのアルテックのスピーカーシステムのつくりのコンセプトからして、
4343の成功に刺激を受けてもものであることは間違いない、と言っていいはずのことだ。

同時に、アルテック自身がほんとうにつくりたかったシステムなのか、という疑問もある。
6041は日本側──つまり輸入元からの要望──によって企画されたもの、という話はきいている。
おそらく、そうだと思う。
6041に続いて登場してきたアルテックのマルチウェイのスピーカーシステムは、
どこかちぐはぐなところを感じさせ、まとまりのよさが失われていった、と私は受けとめている。

アルテックは2ウェイでなければならない、なんてことはいわない。
むしろ6041は、ある意味、期待していたスピーカーシステムの登場であったけれど、
やはり急拵えすぎるところを残しすぎている。

これでいいんだろうか……、と6041が登場してきたときにも思った。
いまふりかえってみても、いろいろ思うところは多くある。

だから、6041は、私の中では、言い古された表現はあるけれど「未完の大器」である。
4343がいきなりぽっと登場したきたわけでないのだから、
6041もあと2ステップほど改良を重ねていってくれていたら、どうなっていただろう。

6041はII型になってはいるが、これは改良というよりは、マグネットのフェライト化によるものだ。
6041は、そこで終ってしまった。
期待していたスピーカーシステムが、中途半端に消えていってしまった……そんな感じを受けた。

私がタンノイのバッキンガム、アルテックの6041に、
あのころ強い関心をもっていたのは、ワイドレンジ実現のために、
3ウェイ、4ウェイとマルチウェイをすすめていくうえで解決しなければならない問題点に対して、
同軸型ユニットの採用は、ひとつの解答だ、と思っていたからで、これはいまも基本的には同じ考えだ。

いうまでもないことだが、同軸型だけが解答といっているわけでなはなく、
あくまでも解答のひとつ、ではあるが、有効な解答だと思っている。

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