Date: 5月 10th, 2011
Cate: 録音
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50年(その4)

ステレオ録音を、感覚的に的確にとらえた表現は、
五味先生の「いま、空気が無形のピアノを、ヴァイオリンを、フルートを鳴らす」であり、
私にとっては、この「空気が無形の」の楽器を鳴らすことは、五味オーディオ教室を読んだときからの、
つまり13歳のときからの思いつづけてきた、オーディオの在りかたでもある。

いま、空気が無形のピアノを……」のところで書いたように、
2005年5月19日、菅野先生のリスニングルームにおいて、はっきりと、聴いた。
プレトニョフのピアノによるシューマンの「交響的練習曲」で、だ。

このプレトニョフのCDの録音は、このとき、ほかの録音とはあきらかに違っていた。
聴いていると、目の前にはっきりとプレトニョフが弾いている鍵盤が浮びあがり、
それだけでなく、ピアノという楽器の形、重さまでもが、はっきりと聴きとれた。

こんなことを書くと、お前の錯覚だろう、という人がいよう。
でも、このとき、菅野先生のリスニングルームで、プレトニョフのCDを聴いた人の何人かは、
私と同じに感じていたことを、そして驚いていたことを、あとで聞いて知っている。

ただ菅野先生の話だと、そう感じない人、このよさがわからない人が少なからずいることも事実のようだ。
これは、その人のオーディオのキャリアの長さ、とは、直接関係はないようで、
感じない人に対して、どんなに言葉を尽くして伝えたところで、ほとんど無駄になることが多い。

プレトニョフのCDを菅野先生のところで聴き、驚き、
さっそくCDを買い求めた人を知っている。
そして、少しでも、菅野先生のところで聴いた音に近づけようと調整したことで、
少なくともピアノの鍵盤に関しては、ほぼ再現できるレベルにもっていっていた。

その彼からきいた話がある。
彼のところに、数人のオーディオマニアの方たちが遊びに来たときの話である。

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