ハイエンドオーディオ考(その20)
(その14)、(その15)でディープエンドオーディオという言葉を使った。
ふと思い出すのが、ステレオサウンド 59号での、瀬川先生のJBLのパラゴンについて書かれていたことだ。
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ステレオレコードの市販された1958年以来だから、もう23年も前の製品で、たいていなら多少古めかしくなるはずだが、パラゴンに限っては、外観も音も、決して古くない。さすがはJBLの力作で、少しオーディオ道楽した人が、一度は我家に入れてみたいと考える。目の前に置いて眺めているだけで、惚れ惚れと、しかも豊かな気分になれるという、そのことだけでも素晴らしい。まして、鳴らし込んだ音の良さ、欲しいなあ。
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この頃の瀬川先生は、ワイドレンジ指向だったし、新しい音に積極的でもあった。新しい音への敏感であった。
JBLの4343から4345へと鳴らされるスピーカーが変ったのとそう変らない時期に、
パラゴンを「欲しいなあ」と書かれている。
どういう心境からだったのか。
深みをめざしての「欲しいなあ」だったのか。