ハイエンドオーディオ考(その9)
DBシステムズのDB1+DB2の音について、瀬川先生は、
ステレオサウンド別冊「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」でこう書かれている。
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アメリカのソリッドステートアンプのごく新しい傾向の良さの素直に出た、とてもフレッシュで生き生きとした音。総じて音のぜい肉をおさえて繊細にどこまでも細かく分析してゆく傾向があるが、しかし細身一方のたよりない弱々しさではなく、十分に緻密に練り上げられて底力を感じさせ、それが一種凄みを感じさせることさえある。力を誇示するタイプでなく、プログラムソースの多様さにどこまでもしなやかに反応してゆくので、音楽の表情をとてもみごとに聴き手に伝える。弦の響きもとてもよく、アメリカのアンプにしてはどこかウェットな音に思えるほどだ。ハイエンドに一種キラッとした音色があって、そこが好みの分れるところかもしれない。
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ステレオサウンド 47号の特集ベストバイでは、
《マークレビンソンにも一脈通じる繊細な、現代の先端をいく音》とある。
いま読み返しても、この音の評価は、まさしくハイエンドオーディオに通じる。
DBシステムズはRFエンタープライゼスが輸入元だった。
このDBシステムズに惚れ込んだ人がいる。
シュリロ貿易の社員だったHさんである。
彼はDBシステムズを取り扱うためだけの(そういえる)会社を興した。
別項でトロフィーオーディオについて書いている。
トロフィーオーディオとは、いわば成功の証しであるし、羨望の的ともなる。
そういったトロフィーオーディオ、ひとつ前に書いたハイラグジュアリーオーディオ、
こういうオーディオ機器のみをハイエンドオーディオとして捉える人の目には、
DBシステムズは安物としかうつらないだろうし、
ハイエンドオーディオではない、と否定するだろう。
それに同意する人もいる。
それはそれでいい。
けれど、私はそうは思わない、というだけの話で、
Hさんのことを含めて、DBシステムズは私にとってハイエンドオーディオを考える(語る)にあたって、
絶対に外せない存在である。