ハイエンドオーディオ考(その8)
ハイエンドオーディオについて考える時、時を遡ると思い出すのが、
DBシステムズのデビュー作であるコントロールアンプDB1+DB2のことだ。
DB1がコントロールアンプ本体、DB2は外部電源。
続けてトーンコントロールのDB5、パワーアンプのDB6が登場したが、
私のなかでいまも印象深いという以上に、
この時代のアメリカのオーディオ・シーンをふり返る時、DB1+DB2は無視できない。
DBシステムズはハイエンドオーディオといえたのか。
私は、そうだと思っている。
DB1+DB2は決して高価なアンプではなかった。
1978年、DB1+DB2h212,000円。
同価格帯のアメリカのコントロールアンプには、
AGIのModel 511(260,000円)、AEAのAnalogue 520(298,000円)などがあった。
これらの中でDBシステムズのつくりは、もっとも実質本位といえる。
いいかえれば、徹底的にコストをかけないつくりである。
DB1の外形寸法はW16.0×H8.1×D10.7cmで、重量は1.0kg。
小型というだけでなく、そっけない外観で、おそらくツマミは既製品だろうし、
リアパネルはRCAジャックをハンダ付けしたガラスエポキシ基板がそのまま使われている。
多くのアンプのようにリアパネルが金属で、そこに端子が取りつけられているわけではない。
内部を見ても、メインのプリント基板が一枚あって、
この基板にアンプ部の部品を含めて、
入力セレクターやレベルコントロールの部品もハンダ付けされていて、
内部配線材は見当たらない。
AGIのModel 511も合理化した内部だが、それでも内部配線材は少しとはいえ使われていた。
DB1+DB2のつくりは素っ気ないとかドライとか、そういえるけれど、
ある目的をもってのつくりだと理解すれば、このこともまた魅力とうつる。